梅雨入り前に洗い奉り候
実家の父は退職して20年。
着ないまま保管されていた、たくさんのスーツを処分したいと言う。
おっ!ダウンサイジングする気になったのねと
喜んで引き取ったはいいものの、長い間洋服箪笥にしまわれていたため、カビ臭の存在感がすごい。
40年前に亡くなった叔父(父の敬愛する兄)のスーツも混じっており、三揃いもあったりして、
枚数にすると30枚以上。
誂えたものがほとんどなのでとても上質なのだが、
残念なことに最近はカジュアルな服装を薦める職場が多く、スーツを着たい人が身近にいない。
譲るに譲れず、棄てるには忍びないまま20年。
本人の希望としては、
①できれば体格の似ているうちの夫に着て欲しいが
②無理なら寄付でも、③捨ててもいい。
しかしカビ臭、どうするよ。
アルコールを噴霧してみたり、日光殺菌したり、風にあててみたり。
色々やってはみても、全く効果を感じない。
クリーニングに出したら恐ろしい出費になりそう。
梅雨入り前に自分で洗うことに。
恐る恐る中性洗剤と酵素漂白剤と一緒に洗濯機で洗ったが、乾くとなぜかますます際立つカビ臭。
同じ空間にいると頭痛がする。
仕方ない…
ついに風呂桶で漬け込み作戦に出る。
酵素系漂白剤入りのお湯に漬け込んで、排水して、水を何回も替えてすすいで、脱水、庭に干す。
なんだか天気も怪しいけど、
酵素系漂白剤に1時間弱漬け込んだスーツは、だいぶ健全な匂いがし始めた。
夫の職場もカジュアル化を推奨しているので、着るとしてもおそらく1〜2着。
寄付は、途上国で支援活動をしている、ワールドギフトという民間の団体にさせてもらいたいと思っている。
以前、ワールドギフトのインスタの投稿で
「スーツは男たちの憧れ」
と、いろんな年齢の男性が誇らしそうにスーツを着ていらっしゃる写真が上がっていたので、着てもらえるかも。
ちょっと型遅れだけど上質で、父と叔父が人生をかけた仕事を、共にした背広たち。
海を渡った先でどなたかに引き継いでもらえたら、
また新しい舞台の幕が上がる。
浪漫を感じる。