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誰かの好きな本を読むと、その人の考え方が少しわかる気がする

人のおすすめ本を読むのが好きです。
その人の思考の軸の一部を覗き見るような感覚があるから。

逆に、自分のお気に入りの本を並べてみたら、自己紹介みたいにもなるのかもしれないと思い
記録半分、自分の紹介半分のような気持ちでまとめてみた。


デザインとものづくり

アイデアが生まれる、一歩前のだいじな話

仕事で最終的にアイデアを決定するときの方法はこうです。
 まず、ひとつの依頼に対してたくさんアイデアを出していくのは当然ですが、そのアイデアが出揃ったあたりで、最後に目をつぶってその全部を思い浮かべ、自分の中で会議をするんです。そのときの自分の数は二十人以上。ときには百人ぐらいで会議をしていることもあります。
 元来、あまのじゃくな性格。これは後の章で書きますが、子どもの頃に育った環境のためか、自分の中にいろんな性格の人がいるのです。そのせいか、この一人会議はやりやすく、その人たちは本当にいろんな意見を言い合います。

『アイデアが生まれる、一歩手前のだいじな話』森本 千絵著、サンマーク出版

アートディレクター森本千絵さんの本。
アイデアを形にしていく過程で、自分の中で考えるときの仮説を複数出して検討するときの表現がとっても可愛くて大好き。それでいて、精度をあげていくときの大切なプロセスはやはり「100人の自分と会議する」こと。
実はこれ、高校生の頃に美大受験予備校の先生が教えてくれて知った言葉。大人になってから読み返して、いまでもやっぱりいいなと。

みんなではじめるデザイン批評

フィードバックにことのほか神経質な人に対しては、会話や使うことばをデザインした本人ではなくデザインだけに向けるよう注意することがいっそう大事になる(図6-1を参照)。 これは骨が折れるかもしれない。批評するときは、デザインの決定に至った考えや根拠を含めたディスカッションをしたいからだ。しかし、デザイナー個人に関する質問のように聞こえたら、傷つきやすい人はデザインでなく自分自身についてのフィードバックだと感じる可能性が高い。

『みんなではじめるデザイン批評―目的達成のためのコラボレーション&コミュニケーション改善ガイド』
アーロン・イリザリー(Aaron Irizarry)アダム・コナー(Adam Connor)著、
ビー・エヌ・エヌ新社

デザインへの批判(=改善案の提案)と、人格否定は全然別ものである。言われてみれば当たり前のこと。
なのに、意外とネガティブな意見を言われた作り手は人格否定のように感じてしまうというのがよくあるように思う。フィードバックする側についても、意識して切り分けて伝えられていない場面を見かけることがある。
そんな状況を客観的に整理してくれるので、時々思い出して、ここに立ち戻る。
そして何より、チームで一貫して大切な観点を共有しておくことの健全さがよくわかる。

仕事のなかで、人と向き合う

他者と働く

お互いにそれぞれの枠組みから自分の正当性を主張するのは、自分の枠組みからは相手の主張こそが問題に見えるからです。その結果、相手がなぜそのような「馬鹿げた主張」をするのかと考えるようになります。
 しかし、一度自分の解釈の枠組みを保留してみて、相手がなぜそのように主張するのかを考えてみると、相手には相手なりに一理はあるということが見えてきます。「まあ、言いたいことはわかるな」という感じにはなるでしょう。
 そうすると、相手が自分の主張を受け入れられるにはどうしたらよいか、という視点に立つことができるようになるでしょう。この一連の過程こそが対話であり、適応課題に向き合うということなのです。

『他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論』宇田川元一著、NewsPicksパブリッシング

どんな職種、事業形態であっても、自分と違う立場の人と関わる場面がある。
この本では「相手の立場になって考える」が構造化されて解説されているのが、面白い。
当たり前といえば当たり前のことだけれど、これを考える時間が少しあるだけで、誰かと一緒に何かをする時に引っかかりが少なくなる、自分が感じるストレスもちょっと減る、とっても大切な観点だと思う。

伝わる・揺さぶる! 文章を書く

 相手という個性に、自分として向き合ったとき、自分の中に沸き起こってくるものがある。その相手だからこそ言いたいこと。自分にしか言えないこと。そういうものに、私たちはもっと忠実になっていいと思う。
 多くの場合、それは相手とのギャップによって生じるメッセージだから、ときに相手に歓迎されず、違和感やざらつきを与えるかもしれない。
 それでも違和感という形で、ときに反発という形で、相手の潜在力を揺り動かすことができれば、相手を生かし、自分を相手の中に生かしたことにほかならない。

『伝わる・揺さぶる!文章を書く』山田ズーニー著、 PHP新書

心に響く文章を書くための具体的なテクニック本・・かと思いきや、5章編成の本書では具体的な文章の書き方についての話は4章で終わる。
残りの1章では、他者と関係を築く際にどんな関わり方をしていくのか。そのときにどんな言葉を使っていくのかといった、人と自分が関わる意味について教えてくれる。こんなに人の考えや思いについて寄り添ってくれる本は他にないと思った。初めて読んだときは、ちょっと泣いてしまった。

ずるい仕事術

「ご機嫌にみせる」メリットは、計り知れないのだ。 逆に、やりたい仕事をやっているはずなのに言い訳ばかりしたり、いつも不機嫌だったりすると、まわりのテンションは下がる。 次の仕事がなかなか回ってこなくなる。 組織にいるうえで、不機嫌でいるメリットなど一つもないのだ。

『佐久間宣行のずるい仕事術――僕はこうして会社で消耗せずにやりたいことをやってきた』佐久間宣行著、ダイヤモンド社

大人こそ「ご機嫌でいる」ことの重要さ。
たったこれだけで、本当に驚くほど周りとの関係が良くなり、仕事がしやすくなり、自分もストレスフリーになれる。超シンプルな処世術。

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている

「実力」というのは、よい上司、よい同僚、よい部下、よいポジションという、よい「環境」に恵まれてはじめて、効率よく伸びていく。

『人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている 』ふろむだ著、ダイヤモンド社

この本のメインテーマは「周りからの印象が意外と影響力としては大きい」(超ざっくり)
それもとてもおもしろかったのだけど、一緒に記載されていた、この「実力は「環境」に恵まれてよく伸びる」という観点が、心に残った。
自分の努力が足りないのでは?みたいな思考に囚われやすいと自分を認識しているのだけど、煮詰まったときは思い切って「環境」にも目を向けることも大切なんだと思えるようになった。

デザイナーだからこそ知りたい、論理的思考の基礎

「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法

2つのことがらのうち、片方が原因となって、もう片方が結果として生じた場合、この2つのあいだには「因果関係」があるという。一方、片方につられてもう片方も変化しているように見えるものの、原因と結果の関係にない場合は「相関関係」があるという

『「原因と結果」の経済学―――データから真実を見抜く思考法』
中室 牧子、津川 友介著、ダイヤモンド社

きっと大学での研究や卒業論文を書いたことがある人は、こういった思考は当たり前に身についているのかもしれないけれど
美大がバックグラウンドの自分にとっては、社会に出てから学んだ考え方だった。
多くの職種はこういった考え方を使うことがたぶん多い。
いろんな立場の人のことを、前よりも少しは考えられるようになったきがする。

そもそも「論理的に考える」って何から始めればいいの?

「要するに、論理的ってどういうことなの?」
「一言でいうと、線でつながっていることです」
(中略)
整理するための切り口が複数あるのなら、表にしたほうがスッキリ整理されてわかりやすいんです。

『そもそも「論理的に考える」ってどうすればできるの?』深沢真太郎著、知的生きかた文庫

前述に続き、学歴のバックグラウンドもあいまって、論理的思考にコンプレックスがある時期があった。
でも論理的思考はそもそも情報整理の手法でもあるので、じつはデザインの過程でもよくふれているものだった。それからハードルが下がり、いまだに得意ではないと思うけれど、様々な事象で前よりも冷静に考えることができるようになったと思う。
簡単な話のようで、実はこれさえわかっていれば多くの課題に向き合いやすくなる本。


2024年1月の時点では私のお気に入りの本はこの8冊。

並べてみて、「ずるい仕事術」以外はすべて、いままで出会った方々におすすめしてもらった本だったことに気がついた。
いろんな人に、ここまで自分を育ててもらってきたらしい。ありがたいことだ。

今後もし増えたら追加していきたい。
おすすめの本があったら、教えて下さい。

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