【長野県】誰にでも「ひらかれた美術館」を目指して~ 企業版ふるさと納税 活用事業紹介#7 長野県立美術館
「企業版ふるさと納税」は企業が寄附を通じて地方公共団体の行う地方創生の取組みを応援できるうえ、税制上の優遇措置も受けられる制度です。また、企業は具体的な使い道を指定して寄附することが可能です。
本noteでは、長野県で企業版ふるさと納税の寄附を受け付けている事業について紹介をしていきます。
今回は誰もが気軽にアートに触れることができる美術館として新築オープンした長野県立美術館について、長野県立美術館 学芸課長の霜田さん、県民文化部 文化政策課の小林さんに伺いました!
(聞き手:ライター 筒木愛美)
自由に気軽にアートを楽しめる「ひらかれた美術館」へ
― 長野県立美術館は装いも名称も2021年に一新されたそうですね。
霜田:はい、長野県立美術館は2021年4月10日にリニューアルオープンしました。前身は「長野県信濃美術館」として親しまれていましたが、1960年代に建設されたため建物自体に老朽化が目立ち、バリアフリー化にも対応しきれないなどの課題が生じていました。そこで全面建て替えをすることになり、名称も「長野県立美術館」として、再スタートすることになったんです。
―歴史ある美術館のリニューアルオープンにあたって、みなさんが重要にされたのはどのような点ですか?
霜田:一番は「ひらかれた美術館」であろう、ということ。
ひと昔前、美術館はいわゆる「美の殿堂」という存在でした。美をうやうやしく拝む場所という意識が高かったんです。しかし、時代は移り変わり、美術館の役割は大きく変わっています。コレクションを引き継ぎつつ、誰でも平等に美術と接することのできる、「ひらかれた美術館」をつくるのが私たちの目標です。
そのために、私たち美術館職員の様な「美術を見せる人」だけでなく、「美術を創作する人」「美術を鑑賞する人」「美術を研究する人」 といった、すべての人が一緒になってこの美術館をつくれるようなオープンな場所づくりを目指しています。
―新しく生まれ変わった本館の建物自体もオープンなつくりで、とても魅力的ですね。
霜田:建物のコンセプトは「ランドスケープ・ミュージアム」。周囲の景観や環境と調和した美術館になっているのも特徴のひとつです。地上3階地下1階建てなのですが、傾斜地という地形を利用して1階から3階の各階に入口があり、自由に行き来ができる、まさに「ひらかれた美術館」を体現した建物になっています。
また、無料ゾーンも充実しているので、気軽にふらっと寄って楽しんでもらえたらなと思います。生活の一部として身近な存在になれたら嬉しいですね。
―美術館自体の特徴や力を入れていらっしゃることについて教えてください。
霜田:「ひらかれた美術館」という、“ひらかれた”というキーワードは空間的にも開放感があるというだけでなく、お越しになる方への心理的なハードルを下げていきたいという思いも込められています。
障がいをお持ちの方など、多様な人々が美術に触れられる環境づくりに取り組んでおり、誰でも安心してアートと出会える場所になることを目指す「インクルーシブ・プロジェクト」にも力を入れています。
館内にある「アートラボ」というスペースは、その象徴としてつくられた場所です。美術館といえば、目で見て鑑賞するイメージが強いかと思うのですが、この「アートラボ」では視覚に限定せず、手で触れるアートや匂いを主体とするアートなど、あらゆる感覚を使って体験できる作品を展示しています。
―なるほど。インクルーシブ・プロジェクトとしては、アートラボ以外のプログラムもあるのでしょうか?
霜田:はい、他にもプログラムはたくさんあります。例をあげると、「障がいのある方のための特別鑑賞日」は障がいのある方がより安心して美術館を訪れることができるよう、休館日に展覧会を鑑賞していただくプログラムです。直近では7月に実施しまして、169名の方に参加いただきました。
小林:特別鑑賞日は、リピーターの方も多いんですよ。私も参加しましたが、みなさんのびのびと鑑賞している姿が印象的でした。また当日、会場を案内してくださる「アート・コミュニケータ」たちの存在も素晴らしかったです。みなさんとてもあたたかい対応でイキイキと活動されていました。
―アート・コミュニケータという方々がいらっしゃるんですね。詳しく教えてください。
霜田:アート・コミュニケータは、「美術と人」、「美術館と人」を結びつける役目を担い、人とアートのつなぎ手として自発的に活動していく存在です。美術館を拠点としたワークショップの企画や鑑賞サポートプログラムの開発など、アートから生まれるコミュニケーションの創出を軸に活動していただいています。
いまはメンバーが56名いまして、もうすぐ3期生も始動するところです。(2023年10月現在)
―アート・コミュニケータのみなさんは、どのような動機で参加されているのですか?
霜田:昔から美術が好きだとか、美術館に関わりたいという方が多いですかね。長野市内だけでなく長野県内各所からお越しいただいていますし、年齢も10代から70代まで幅広いです。
アート・コミュニケータという存在に可能性を感じて手を挙げてくださって、本当にありがたいなと思っています。美術館はさまざまな価値観を持つ多様な人々を結びつける「出会いと学びの場」であるという考えがだんだん認識されてきていますが、私たちもアート・コミュニケータとの活動を通じて、その考えをさらに広めていきたいですね。
永く親しまれる美術館を、ともにつくりたい
― 企業版ふるさと納税に話を移していきたいのですが、すでに企業版ふるさと納税を活用して、本事業にご寄附くださった企業さんもいらっしゃるそうですね。
小林:そうですね。これまでも全国からご寄附をいただいています。
「美」に関係のある企業さまもいらっしゃいましたし、美術館の取組みに共感いただいてのご寄附もございました。
―民間からの寄附を受け入れようとしたのはなぜでしょうか。
小林:長野県立美術館という施設は、みなさんの共有財産なので、一緒に育てていきたいという思いが根幹にあります。
また、現実的な課題として、持続的で安定した運営をしていくために、美術館も多角的な資金確保方法を探っていく必要があります。
これまでいただいた寄附金は、無料ゾーンに設置する映像作品や触れる芸術作品など、あらゆる感覚で楽しめる作品づくりに活用しました。今後はインクルーシブ・プロジェクト等の事業の充実にあてさせていただく予定です。
―最後に一言お願いいたします。
小林:さまざまな方と連携しながら、長期的な視点で、美術館に関わる人が増えるためにはどうしたらいいか、親しんでもらうにはどうしたらいいか、共に考え、活動を積み重ねていければと思います。
霜田:長野県立美術館が行っている取組みに共感してもらえたら嬉しいです。社会の中で美術館は必要なもの。ぜひ一緒に育てていきませんか。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
私たちと「企業版ふるさと納税」を契機としてパートナーシップを構築し、一緒に地方創生に取り組んでいきませんか?もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ企画振興部総合政策課までお気軽にご相談ください。
長野県「企業版ふるさと納税」
WEBページhttps://www.pref.ngno.lg.jp/kikku/kensei/shisku/kigyobnfurustonouzei/soudnmdoguchi.html
(参考)長野県立美術館HP
https://nagano.art.museum/
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?