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【長野県】県民一丸で挑む「持続可能な脱炭素社会づくり」 企業版ふるさと納税 活用事業紹介#4 ゼロカーボン事業

企業が寄附を通じて地方公共団体の行う地方創生の取り組みを応援すると、税制上の優遇措置を受けることができる「企業版ふるさと納税」。企業は具体的な使い道を指定して寄附することが可能です。

本noteでは、長野県の寄附を受け付けている事業について紹介をしていきます。
今回は「ゼロカーボン事業」の取り組みについてです!

長野県は、都道府県初の「気候非常事態宣言」を発表し、「長野県ゼロカーボン戦略」を策定。社会変革、経済発展とともに実現する持続可能な脱炭素社会づくりを目指し、取り組みを進めています。全国的にも早期に、かつ高い目標を掲げてゼロカーボンに挑むことを決意した長野県。その背景や具体的な取り組みについて、環境政策課と建築住宅課にインタビューしました。(聞き手:ライター 筒木愛美)

日本の脱炭素化をリードする野心的な削減目標、温室効果ガス正味排出量“2030年までに2010年比6割減”の背景

まずは、長野県がゼロカーボン実現へ挑む理由やどんな施策を実行しているのかについて、環境政策課の高橋晴彦さんにお話を伺いました!

―長野県は2019年12月に気候非常事態宣言を都道府県として初めて発表しました。その理由を伺ってもよろしいですか。

地球温暖化がもたらす記録的な高温や大雨、大規模な干ばつなどの異常気象が世界各地で数多く発生している中、2019年10月、令和元年東日本台風(台風第19号)により千曲川の堤防が決壊し、多くの家屋が浸水するなど、県内各地で甚大な被害を受けました。

令和元年東日本台風(台風第19号)被害

気候変動が私たちの暮らしにとっても差し迫った課題であることを改めて認識し、長野県として気候変動問題に対して行動を起こさなければならないという強い危機感から、気候非常事態を宣言し、2050年に二酸化炭素排出量実質ゼロ(2050ゼロカーボン)の実現を決意しました。

宣言時、小泉環境大臣(当時)との会談

―2050ゼロカーボン実現に向け、どのような目標を立てているか教えてください。

2021年6月に県の地球温暖化対策の目標等を定めた「長野県ゼロカーボン戦略」を策定しました。

この戦略では、二酸化炭素を含む温室効果ガス正味排出量を2050年度にゼロにすることを目指し、2030年度に「2010年度と比較して6割削減する」という高い目標を掲げ、徹底的な省エネルギーと再生可能エネルギーの普及拡大に取り組んでいくこととしています。


―目標達成に向けて、長野県ではどのような取り組みが行われているのでしょうか。

「交通」「建物」「産業」「再生可能エネルギー」「吸収・適応」「学び・行動」の6つの重点分野で、全庁を挙げて取り組んでいます。

具体的には、電気自動車(EV)用の充電インフラ整備、高い断熱性能を有する信州健康ゼロエネ住宅の普及、産学官連携によるゼロカーボン技術開発への支援や住宅太陽光、小水力発電などへの支援、森林整備の推進や建物緑化の促進など行っています。

また、「学び」の機会を創出するため、環境に関する県内のさまざまな講座情報などを一元化して発信する「信州環境カレッジ」を開設したり、企業や大学、自治体、若者など多くの主体が分野を越え、連携して行動する場「ゼロカーボン社会共創プラットフォーム(愛称:くらしふと信州)」を立ち上げたりと、県民一丸となって気候危機に立ち向かっていけるよう努めています。

信州屋根ソーラーポテンシャルマップ(建物の屋根ごとに、年間の日射量を計算して、太陽光発電や太陽熱利用の適合度をWEB上で表示するシステム)

「信州らしい住まいづくり」でゼロカーボンを推進 森林資源を活かす「建物」の取り組み

続いて、2050ゼロカーボンを実現するための事業の一例について、「建物」の分野から、建設部建築住宅課の郡司亮さんにお話を伺いました。

―ゼロカーボンの取り組みとして、建築住宅課ではどのような取り組みをされているのですか?

建築住宅課では、「住まい」や「暮らし」におけるゼロカーボンを推進していくため、高い断熱性能を有し、信州の恵まれた自然環境と森林資源を活かした「信州らしい住まいづくり」を、地域の工務店や建築主の皆さまと協働して推進しています。

具体的な取り組みとしては、2050ゼロカーボンに資する住宅の新築工事やリフォーム工事を支援する「信州健康ゼロエネ住宅助成金」を令和4年度から開始しました。

「信州健康ゼロエネ住宅」のイメージ

この「信州健康ゼロエネ住宅助成金」では断熱性能の高い住宅を新築したり、断熱性能を向上させるリフォーム工事を行ったりする際の費用の一部を助成しています。

もともと住宅を建てる際に活用できる制度はありましたが、住宅分野における2050ゼロカーボンを実現するために、助成額を増やしたり内容を見直したりして、県民のみなさんに使いやすい制度になるようにしました。昨年度を上回る申し込みをいただいており、好評いただいています。

また、令和4年10月からはこの助成金に加え、住宅建築価格高騰の影響への緊急対策として、「信州健康ゼロエネ住宅普及促進価格高騰緊急対策事業補助金」により助成額のかさ上げを行い、新築する方を応援しています。

―どのような住宅工事が信州健康ゼロエネ住宅助成金に該当するのでしょうか。

新築の場合は、独自の指針である「信州健康ゼロエネ住宅指針」の基準に適合し、長野県産木材を使用したり、再生可能エネルギー設備を導入したりした木造住宅、リフォームの場合は断熱改修、バリアフリー化や県産木材の使用などが対象です。

この「信州健康ゼロエネ住宅指針」は長野県ゼロカーボン戦略を踏まえ、長野県の目指す姿として「信州の恵まれた自然環境と森林資源を活かし、資源や経済などの地域内循環を考慮した2050ゼロカーボンに資する質の高い快適で健康的な木造住宅」(=信州健康ゼロエネ住宅)を示し、工務店や建築主など「つくり手」の皆さまと一緒に、県民の皆さまの豊かな住まい環境の創出と社会全体のゼロカーボンを実現し、次の世代に引き継いでいくことを目的としています。

「信州健康ゼロエネ住宅」は、冬あたたかく、夏涼しい快適でエコな住まいとなることに加え、ヒートショックが予防され、健康にやさしく、さらに、光熱費の節約にもつながります。

また、県産木材の活用は、外国産材に比べ運搬のエネルギー量を抑えられるので環境にやさしいことに加え、地元の林業・木材産業の活性化にもなり、県産木材の温もりを感じながら、地域とのつながりを育みます。

県産木材を利用した環境にも地域にも優しい住宅(信州の木受賞作品)

―地域の工務店や建築主の皆さまと協働というお話しがありましたが、具体的に伺ってもよいでしょうか。

先ほどご説明した、「信州健康ゼロエネ住宅指針」は、県だけで決めたのではなく、県と地域の住宅産業を支える「つくり手」の皆さまとで何度も意見交換を行い、信州らしい住まいづくりの方向性を指し示すための指針として策定しました。

また、この指針が目指す「社会全体のゼロカーボン」など目的の実現には、県と「つくり手」の皆さまとの連携が必要であり、令和4年3月には、建設業協会や建築士会などと県が協定を締結し、事業者と県が一致団結することを示しました。

「住宅分野における2050ゼロカーボン実現に関する協定」締結式

さらに、同年5月には、「信州健康ゼロエネ住宅普及促進協議会」を関係団体、市町村と設置し、多様な主体が連携しながら、信州健康ゼロエネ住宅の普及促進の取り組みを進めています。例えば、「つくり手」の皆さま向けに信州健康ゼロエネ住宅の設計・施工手法の研修会を開催し、最新の技術・取り組みの横展開を行っています。

指針で示す目的の実現には、「つくり手」の皆さまだけでなく、「住まい手」の皆さまの理解と行動変容も不可欠です。広く県民の皆さまに向けて、動画やイベントの場を通じて、省エネの必要性を知っていただいたり、少しでも生活に取り入れていただけたりするよう、信州健康ゼロエネ住宅のメリットや取り組みを発信しています。

――最後に「企業版ふるさと納税」への想いを教えてください。

長野県は、都道府県で初めて気候非常事態を宣言した県として、2050ゼロカーボンの実現、そして、将来世代に胸を張って引き継げる社会の実現に向けて、さまざま取り組んでいきたいと考えています。

企業版ふるさと納税での寄附金は、例えば、「信州健康ゼロエネ住宅」のことをもっと県民の皆さんに知ってもらうための広報など、ゼロカーボンを進める取り組みに活用させていただきます。

県外の企業さまにも、長野県のゼロカーボンへの考え方に共感していただけたら、ぜひ企業版ふるさと納税というかたちで応援してもらえると嬉しいです。

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私たちと「企業版ふるさと納税」を契機としてパートナーシップを構築し、一緒に地方創生に取り組んでいきませんか?
もしご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ企画振興部総合政策課までお気軽にご相談ください。

長野県「企業版ふるさと納税」WEBページhttps://www.pref.nagano.lg.jp/kikaku/kensei/shisaku/kigyobanfurusatonouzei/soudanmadoguchi.html

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