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ブリオッシュと失恋

私はずっと、あるブリオッシュの味を探している。

初めてブリオッシュという存在を知ったのは、私が住んでいる場所からかなり離れたところにあるパン屋さん。

あんバターを買ったら、そのパンがとてつもなく美味しくて、そのパンとしてブリオッシュが使われていることを知った。

ブリオッシュとは、バターと卵をたっぷりと配合したフランス発祥のリッチな菓子パンの1種。

名前の由来としては、「bris(ブリ)=砕く」「hocher(オシェ)=ゆさぶる」のふたつの言葉を組み合わせたという説と、ブリ―地方(チーズで有名です)の名前からという説があるようです。

https://tomiz.com/column/brioche-recipe/

初めて食べたブリオッシュは、バターのたっぷりとした甘さと、塩味の割合が完璧で、大好きな味だった。

それから、私は行く先々のパン屋さんでブリオッシュを探すようになった。

しかし、何軒回っても、ブリオッシュに出会えても、「あの味」には出会えない。

ブリオッシュと言っても、店によってそれぞれ個性があることを感じていた。

そして今日、、、!「あの味」にとっても近いブリオッシュを発見したのだ。

一口目にくる甘さ、そして噛むと広がる塩気。

私が探していたのはこれ、、、、!!!!だったっけ、、、、????

確かにこの味を求めていた気がするし、「あの味」に最も近いのには間違いない。

だけど、あんなにブリオッシュが食べたかった割には、出会えた時の感激度が少ない。

これってもしかして、初めて食べた時の衝撃と、なかなか出会えない歯痒さが、私を引き留めていたんじゃないか。

ブリオッシュ自体好きだけど、実はそこまでではないんじゃないか。

急にそんな気分になってきた。

あ、これ、失恋に似てる。

失恋って、恋したあの時の甘さや、涙した時のしょっぱい思い出がずっと心に引っかかる。

失恋がなかなか忘れられないのは、その人が特別なんじゃなくて、実は恋したあの人が手に入らない歯痒さが原因なんじゃないか。

そんな風に思えてきた。

もしかしたら、このパン屋さんには私が求める「あの味」のブリオッシュがあるかもしれない。

もしかしたら、ここに「あの人」がいるかもしれない。

私のブリオッシュ探しと失恋は似ている。

そしてこれからも私は理想のブリオッシュを探し求める。


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