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回す力

グループのMVや曲の再生回数が減っている。

そりゃコロナ禍に比べれば減るのは当たり前…なのだが、なんとなく回復の見込みがない。グループに勢いがないとか、ファンが減ったとか、そういう憶測は外に置いておいて、とりあえず再生数が微妙なのだ。


実は9thシングル『one choice』まではそれなりのストリーミング再生数があった。オリコン調べではこの時点で週間1.0万PT。(出典:日向坂46、丹生明里センターの新曲が通算9作目の「合算シングル」1位【オリコンランキング】)

8thシングル『月と星が踊るMidnight』は週間0.7万PTに落ち着いていたが、6thシングル『ってか』、7thシングル『僕なんか』の1.3万PTに迫る勢いがあった。しかし10thシングル『Am I Ready?』では再び0.8万PTに下落。11thシングル『君はハニーデュー』は0.45万PTまで下落した。


ちなみにストリーミングPTは日向坂46だけが減っているわけではない。同じ坂道シリーズの乃木坂46の35thシングル『チャンスは平等』、36thシングル『チートデイ』共に約0.6万PT。『one choice』とほぼ同時期に出た32thシングル『人は夢を二度見る』が1.0万PTなので、減り方としてはほぼ一緒。つまり坂道グループ全体が…という言葉を破壊するのが櫻坂46である。


最新の9thシングル『自業自得』は週間1位を逃したため詳細なデータが出なかったが、8thシングル『何歳の頃に戻りたいのか?』、7thシングル『承認欲求』共に週間3.2万PT、『one choice』とほぼ同時期の5thシングル『桜月』が週間1.7万PTだったので、1グループだけ約1.9倍までストリーミングPTが伸びた計算になる。

MVも6thシングル『Start over!』以降好調で、最新シングル『自業自得』の伸び率もすこぶる好調だ。坂道グループの中で確かな勢いを見せており、明らかに他グループとは違う何かがある。


その一つが『回す』という行為だ。ストリーミングもMVも回さなければ回数は上がらない。当たり前のようでいて結構難しいのがこの『回す』行為だ。

たとえば筆者は日向坂46の1stシングル『キュン』の時はゴリゴリにMVを回していた。とにかく見るのが楽しくて、毎回毎回隙あらば見ていた。推しが2列目になった3rdシングル『こんなに好きになっちゃっていいの?』も食い入るように見返した。再生数など気にせず、とにかく見たいというのが欲求にあった。


一方で長く見続けてきた結果、良いと思ったMVは何度も見返すが、それでもある時ふと手が止まってしまう。忘れたかのように他のコンテンツに夢中になり、『回す』ことをしなくなる。恐らく長いファンの大半がそんな状況に陥っているのだと思う。

それを強く実感したのが推しのオンラインミート&グリートだ。一次完売だろうと高をくくった結果、11thシングル以降、2次完売の人になってしまった。前みたいにたくさん投げていればいいのに、「きっと埋まるだろう」という期待値が邪魔をした。


その反面、櫻坂46のファンには明らかな成功体験がある。それが『2023 Asia Artist Awards IN THE PHILIPPINES』での投票だ。日本でも著名なK-POPアーティストが集まる同アワードにおいて、ファン同士が協力し合い数日間に渡り投票を続けた結果、Fimale singer部門で1位を獲得。人気賞を受賞した。

自分たちの力で、回すことで何かを成し遂げられるという実感が彼らにはある。惜しくも1位を逃した最新シングル『自業自得』でも同様のムーブメントが起こり、シングルは圧倒的な売上枚数を見せた。


一方で日向坂46はどうだろうか。かつて6thシングル『ってか』で100万回再生を目指すムーブメントは起きたが、以降は目立ったものは見られず、齊藤京子の卒業までに『月と星が踊るMidnight』で1,000万回再生を目指すというムーブメントは起きたが、惜しくも未達となった。『回す』ことによる成功体験はほとんどない。



とはいえ、ある種の希望もある。9/7、9/8に宮崎県で行われた『ひなたフェス2024』には県内外から多くのファンが集まった。フェスが発表された瞬間からほとんどの宮崎行きの航空機、県内の宿が埋まったにも関わらず、多くのファンが鹿児島など他県を経由して宮崎の地に集まった。

これだけの行動力は確実に櫻坂46のファンが持つ『回す』力に匹敵するはずだ。だからこそ、きっと何かのきっかけさえあればそれがまた動き出し、勢いづくと私は信じている。



『回す』にはきっかけがいる。それをどう作れるのかが、今後のグループ、そしてファンの課題なのかもしれない。




おしまい。

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