MGSΔ、ダメかも

 このまま発売されたらあんまりである。


「METAL GEAR SOLID Δ」製作発表当時、開発チームのコンセプトは「構造を変えずに量を変化させる」だった。これは、言い換えれば「ガワのグラフィックだけ良くして他はほぼ変えません」と言っているに等しい。
 この時私の脳内で(あの効果音)が鳴ったのだが、はたしてこの警報は正しかったようで案の定、上記の記事でMGSΔは古臭いゲームとして評価されてしまっている。操作体系こそ現代的に刷新されているものの、頻繁なマップローディングはさぞ悪目立ちしただろう。だって現代のゲームじゃシームレスなマップ移動はできて当たり前なんですよ?
 かつて多くのゲーマーを唸らせた名作シリーズの新作が頻繁なロードを指摘されるなんて、あまりに悲しすぎませんか。

 メタルギアに期待されるのは、ファンの予想を裏切り超える体験だ。

 
何を当たり前のことを、と思われるかもしれないが、その匙加減の難しさは過去作を思い返せば明らかで。
 新主人公の雷電、武器装備変更時の一時停止廃止、モンハンコラボ。今でこそ評価されているこれらの要素だが、発表当時の賛否両論を思えば簡単な決断だったとは言い難い。期待を裏切ることが必ずしも良い反応を生むとは限らないなら、製作者は時間をかけて理解されることを祈るしかない。
 ましてや今回はリメイクである。となれば、原作との比較はどうしても避けられず、かと言って原作そのものを再現するのは悪手だ。MGSΔの原作「METAL GEAR SOLID 3」は2004年発売、PS2全盛期の頃である。20年前のゲームを忠実に再現してしまえばガワが新しいだけの古臭いゲームになってしまう。
「予想を裏切られたい」に加えて「原作と同じであってほしい」も同居するとなると、グラフィックの向上や操作体系の改良だけでは到底求められるクオリティにはなり得ないことがなんとなく想像できないだろうか。

 そろそろ分かり切った結論を書いてしまおう。MGSΔ開発チームには今回の評を危険信号として受け止め、すぐにでも作業の手を止めて作品の根本的な見直しを始めるべきだ。作ってしまったものはしょうがないからクラシックモードとして残すとしても、今のままでは本当にオールドスネークならぬオールドゲームになってしまう。
 でなければ、私のようなオールドゲーマーは物置からPS2を引っ張り出すしかない。いや、もうリマスター版を買ってあったからそちらを遊ぶのみである。


 こちらの記事もあわせてどうぞ。「開発コンセプトに感じた違和感の詳細」「現代で冷戦時代を物語ること」について思うところを書いています。


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