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「Project Borealis: Prologue」感想:Half-Life 3実現への期待が高まる体験版だ
ついにこの時が来た。口を閉ざす者に代わり自ら語り部にならんとする者が、長きに渡った沈黙を破る。
語られるのは理外のことばかりだ。そこに存在しながら同時に存在しない物体、家屋の天井に開く宇宙空間、そして行方不明となった巨大実験船Borealis号。
時間は入り乱れ、空間は引き裂かれ、自分が今どこに、いや「いつ」にいるかも分からない。しかしやるべきことは分かっている。
バールを握りしめろ。
Project Borealisに心からの敬意と感謝、そしてプロジェクト完了への激励を送りたい。
Project Borealisとは?
「Project Borealis」は、PCゲーム「Half-Life(以下HL)」シリーズにおける幻のHL3をファン自らの手で再現することが目標の開発チームだ。
プロジェクト名は3作目で登場予定だった謎の実験船Borealis号から。
シリーズ脚本家が中編小説の形をとる事実上のHL3脚本を公開したことが契機となりファンが結集、Project Borealis発足に至る。
今回公開された「Project Borealis: Prologue」は、その体験版となる。
感想:目新しさは無いが今後に期待
今回、プレイヤーは何の説明もなくゾンビと雪に支配された街へ送り出される。ストーリーらしいストーリーはなく、プレイ時間も10分程度と短い。あくまで体験版、という印象。
とは言え、一通り遊んでみるとけっして退屈ではない。序盤は安全地帯だろうと油断していたらゾンビが5体も出てきて不意をつかれたし、実績解除も楽しい。忌々しいノーム運びもこの長さなら楽なものである。
そして絶対に触れておきたい点として、全体的な操作感はまさにHL2そのものだ。バールで破壊するとその場で崩れる木箱やグラビティガンの挙動は、あの時遊んだ感じがそっくり再現されている。
これで使用ゲームエンジンはUnreal Engineというから驚きだ。
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残念な点としてはプレイ時間の短さに加え、目新しい要素がほぼ無いこと。せいぜい寒冷地に適応してモフモフになったヘッドクラブが目を引くくらいで、ここは新しいギミックの1つも欲しいところか。
以前ゲームのリメイクについて触れたことだが、ゲームは必ずしも過去作そっくりに再現する必要はない。
むしろ作品の核となる体験をしっかり定義し、現代の基準に合わせて再構築しないと単なる古いゲームの焼き直しになってしまう。
厳しい言葉を選べば、今回の体験版もまさに焼き直しだ。
しかし、少なくとも今作はシリーズファンのノスタルジーを刺激することに成功しており、Project Borealisは再注目されつつある。今後も同プロジェクトの情報を追いたいと思える良いフックだったことは確かだろう。
願わくば、本編では懐かしさに加えて楽しい驚きが待っていることを期待したい。
余談:開発がちゃんと進んでることにホッとしたお話
さて。ひとしきり感想を述べたところで、こうして体験版が公開されたことをシリーズファンとしては大いに喜びたい。なぜなら、Project Borealisはここ2年沈黙状態だったからだ。
HL3の開発は、まるで3以上数えられない呪いでもかけられたかのように上手くいかない。事実、HLシリーズを生んだValve社でもHL3企画は提案と立ち消えを繰り返していたことが元従業員により語られている。
これはファンダムも同じで、HL3再現を掲げたプロジェクトは他にもBoreal Alyphがあったが、開発から3年後に中止が発表された。
このことから、筆者もProject Borealisに同じ懸念を抱いており、正直な所いつ中止してもおかしくないとさえ思っていた。
このような経緯を踏まえると、10分程度の体験版であってもその公開は大きな進展と言える。
そして、根拠の弱い推測で恐縮だが、こうして体験版を公開しファンの注目を集めた事実は、ひとえに開発がある程度の形になったことの表れではないだろうか。
同プロジェクトの開始からはや7年。シリーズファンも忍耐には慣れっこだろうが、ファンダム発のHL3が現実となるのはそう遠くないように思われる。などと書いてたら続報が開発中止、ということにならないよう祈っている。3の呪いが現実になりませんように。
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