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【総合栄養食とは】

総合栄養食になるには

総合栄養食の定義は色んなところで書かれているのであえて詳しく書きませんが、凄くザックリ言うと「これだけで十分育つよ」というペットフードだと思ってください。その定義はここでは重要ではありません。
さて、僕はかつてこの総合栄養食の認定を取ろうと考えていましたが、今は考えていません。
調べものをしている過程で色々と思う事があったのでそれに関して少々詳しく書いていこうと思います。
まず、総合栄養食の認定を取って、ペットフードのパッケージにそれを公正に表記するにはペットフード公正取引協議会へ入会し、所定の検査をクリアする必要があります。ちなみにその検査は二通りありまして、簡単に言うと
➀成長に十分な成分組成になっているか実験室内で検査する方法
➁約半年そのフードと水のみを与えて健康を維持するか見る。
というものです。(以下参照)

もちろんお分かりかと思いますが、どの事業者も大抵➀を選びます。
その場合かかるコストは
入会金  6万円
年会費  最低6万円(累進制)
試験費用 約35万円(一機関の見積もり。もっと安いところもあるかも知れません。)
合計約47万円が最低でもかかります。➁のパターンの場合当然もっと高額になるでしょう。

ペットフードをご用意ください

さて、ではあなたの今あげているペットフードのパッケージをご覧ください。
「総合栄養食」の近くに「ペットフード公正取引協議会の~」的な文言はありますか?
それはこの金額を投入して上記の➀か➁の試験をクリアしたことがあるフードを使っているということです。



しかし、全ロットを成分解析にかけるとしたら自社で検査機関を設けるか、毎回資金を投入して検査するかしなくてはなりませんから、その袋の中のペットフードが本当に厳密に基準を満たしているかどうかは定かではありません。
僕が調べた中で最も大規模な検証は2017年イギリスで行われた検証ですが、実際に抜き取り調査をすると基準を満たしていない製品は過半数あるようです(原文を読みたい方は以下参考文献参照してください)
Mineral analysis of complete dog and cat foods in the UK and compliance with European guidelines | Scientific Reports (nature.com)

結果を一部抜粋すると

“英国のスーパーマーケットで購入した大量のウェットおよびドライペットフードのミネラル組成とミネラルバランスを初めて客観的に評価した。その結果、92%のウェットフードと61%のドライフードが基準に従っていない。一部の製品では、ミネラル含有量が栄養要件を遥かに超えたり、満たさなかったりすることがよくあった。一部の製品は、ミネラル含有量のバランスが悪く、これらの製品を単独で長期間使用することが、ペットの総合的な健康に悪影響を及ぼす可能性があります。”
 
とのことです。

これはあくまで6年前の海外の状況ですので、現在の日本のペットフード業界がどうなっているかは分かりませんが、ペットフードはどんなにこだわって選んでも、中身がどうなっているか分かりません。これは誰が何と言おうとただの事実です。
それでも一度基準をクリアし、同じ材料、同じ製法で作っているフードなら、まぁおおよそ基準を満たしているし、満たしてなくても大きく外れていることはあまり無いと僕は信じています。

例外

ちなみに「ペットフード公正取引協議会の~」的な文言の書かれていないフードがごく少数ありますが、それは製造業者さん独自に総合栄養食の基準を満たしていると判断していると言う事ですので、実際どのような根拠でそのような表記をしているかは事業者様に聞いてみなければ分かりません。

結論

これを踏まえたうえで、やはり僕が出した結論は、ペットフード公正取引協議会認定の総合栄養食を色々変えながらあげる。なのでした。

ちなみに、どんなに成分解析を正しく行ったとて、それがあなたのワンちゃんに適しているかは別の話。
例えば牛だと、どんなに素晴らしい飼料設計をしても期待通りに反応しないことはしょっちゅうあります。
結局、実は最も正確にあなたのワンちゃんに対してフードが与える影響を知りたければ、あなた自身があなたのワンちゃんで➁のような実験をする他ないのです。

実験とは不気味に聞こえるかも知れませんが、要は日常的に自分が気に入ったフードを食べさせて、定期的にお近くの動物病院で健康診断を受けて下さい。ということです。



そして結果が問題なく、オーナーもペットも幸せならそれが良いと思います。

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