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AIC体験記-有機栽培と慣行栽培の両方を経験して
こんにちは、ケントと申します。15期の関東校:アグリイノベーション大学校(以下:AIC)の千葉農場へ入学しました。記念すべき、第一回目は「経 歴」「入学してから気づいたこと」についてお話をしたいと思います。この記事を読んでくださる方は農業に関心がある方だと思います。そんな方々に損をさせないような記事にしたいと思いますのでよろしくお願いいたします。
1.経 歴
子供の頃から農業現場と触れ合う機会が多く、「昆虫」「自然」が好きな幼少期を過ごしました。その後、東京農業大学に進学し「昆虫フェロモン」について研究をしました。自分の将来を考えた時、「日本農業を良くしよう」と思い立ち農薬メーカーに就職しました。当時は純粋に「栽培方法」「病害虫」「農薬」の知識を深めることは日本農業を良くすることが出来ると考えていました。
しかし、実際の現場を知るといくつかの問題点が見えてきました。生産者の高齢化による変化を拒む業界体質、農家のビジネス的な農業生産が難しい環境になっていると感じました。日本農業の課題が見えてきた・・・。そんな手ごたえを感じていました。
2.慣行栽培と有機栽培
末端ユーザーの農家は慣行栽培を中心に生計を立てている方が大半でした。農薬を使えば、作業効率も良く安定した生産に繋がります。「日本植物防疫協会」の資料でも薬剤処理区と無処理区では収量、被害度に大きな差がでることが掲載されています。しかし、世間では農薬を使った作物は「悪い物」であり、使ってない作物は「良い物」という認識が浸透している。そのような世間の流れがある中で、有機栽培農家はどの様な「技術」「知恵」「思い」を持ちそれに取り組んでいるのか?それを知ることは今後の農業業界に必要なことではないか?私が前に進むためにも必要なことだと思ったのです。
3.入学のきっかけ
自分で考えた事業内容の農業をやりたいなと漠然と考えていた時。たまたま、ネット検索で出てきた「株式会社マイファーム」のページ。よく読んでいくと、有機栽培を中心とした授業カリキュラムがあり、千葉県の白井市が圃場ということで立地条件がピッタリでした。(ちなみに横浜圃場は実家の近くでした笑)一度話を聞いて考えてみよう。そう思った私は、実際の農場実習講義を見学できる説明会に参加しました。見学をして気づいたことは参加している方は様々な職歴、経験をもっている方が多く、ここで繋がりを活かすことが出来れば、農業で商売をするに当たり新しい物を作り上げることができるのではないか?という期待と栽培技術だけではなく、商売についても学べるのではないか?自分が描く将来の農業像に近づくために必要になると思い、入学を決めました。私の目標はもちろん、「実際の圃場の管理法」を学ぶことです。
4.体験、入学して学んだこと
入学をして早速学んでいることは、農業資材でまだまだ知らなことが多くあったということです。農作物を守る「防虫ネット」、地温を保持するための「ビニールマルチ」、その他の多くの資材の数々。病害虫から農作物を守るための農薬以外の選択肢もあるんだということを知りました。
一方で有機栽培に「向いている作物」「向いていない作物」も見えてきました。例えば「ソラマメ」は丈夫で育て安く家庭菜園でも人気な作物です。害虫からも人気な作物で「アブラムシ」を筆頭に様々な種類を引き寄せてしまいます。これらの害虫は農薬資材を使えば簡単に防除できる物ばかりです。しかし、有機栽培はそれを使うことが出来ないため、「有機JAS規格」を持つ資材を使うことになります。殺虫剤では「気門封鎖剤」という窒息死させる資材があります。対象害虫に掛かかる事で効果を発揮することができますが、隠れる場所が多いソラマメでは100%防除するが難しいという事実を体験出来たことは、「学ぶことは多くある」ということを視野の狭くなっている私に再認識させる出来事となりました。
5.これからの目標
稼げる農業をするにはどうすればいいのか?自然とうまく付き合っていくためにはどうすればいいのか?自分なりに考えて導き出した答えを出したいと思う。まずは、有機栽培に向いている作物とそうでない作物を見分けて、実践しやすい物から取り組んでいきたいと思います。次回は水稲をテーマにした記事を予定しております。日本の水稲事業は年々厳しい物になってます。しかし、そこからできる新しい取り組みや学び、経験できることをテーマに紹介したいと思います。次回もお楽しみください。
ケント