#4 EN PASSANT/FREDERIC MALLE
Scent of the day
買った時は実はメインじゃなく、いっぱい買うと安くなるからとじゃあこれも気に入ったからこれの小さいのをついでに…
という感覚で買った。
もちろん香りは試しているけど実際つけて動き回ると感覚がまた変わる。
この香り、若い子より40代が清く爽やかにまとえると勝手に思ってる。
若い子だっていいけど若い時はもうちょっと個性的で甘めだったりする方がそのフレッシュさとバランスがいいのではと思っているから。
その香りが、このフレデリックマルのアンパッサン。

FREDERIC MALLE
フレデリックマルは、調香師にスポットライトが当てられているブランドで、
初めて実際に香りに触れたのは、上海のIFCモールの地下だったと思う。
筒から上がってくる香りを楽しむスタイルだったけれど、正直なところ香りがあまりよくわからなかったのが思い出。
その後韓国のデパートでしっかり試香させてもらうことができて、冬にぴったりな一本を購入した。それはまた別で書く日がくるかな、と思う。
まだ寒い、でも暦の上ではもう春。そんな日に会う香り。
さてEditions de Parfums Frédéric Malleは、2000年に設立されたフランスの香水ブランド。創始者のフレデリック・マルの祖父はクリスチャン・ディオールの香水ラインを立ち上げ、母親もディオールの香水開発責任者として長年勤めていたというから、生粋の香水一家。
このブランドは、調香師の名前をボトルに明記している。香水沼のオタクたちは調香師の名前をたくさん知っていて、調香師で香水を選ぶ人もいるはず。
でもそうではない人にも調香師の名前が全面に出されているから親しみを感じる。
農家の方の顔写真が載っている高級野菜のように、調香師の名前があるということが消費者にとってはその芸術作品である香水への信頼感が保証されているように感じる。
有名なのは「PORTRAIT OF A LADY/ポートレイト オブ ア レディ」「CARNAL FLOWER/カーナル フラワー」「MUSK RAVAGEUR/ムスク ラバジュール」など。シンプルでありながらも深みのある香り。単純すぎず、凝りすぎてて使いにくいこともない。でも独特な香りでもあるので人と被らず個性を楽しめる。ボトルもパッケージもシンプルだけど、そこが却って香りへの自信を表していると思う。
私はPORTRAIT OF A LADYのサンプルを持っているけれど、この香りもいい。女性だから甘い香りみたいな構造でないところが好き。肖像画の中に入れそうな香り。
EN PASSANT
さて、いよいよ本題のアンパッサン
甘ったるさのないフローラル。
en passant とはフランス語で通過の途中、ついでに、ちなみに、通りすがりなどの意味があるらしい。
私はフランス語はわからないけれど、なんとも素敵。
爽やかなライラックが通りすがりにふわっと香る。
素敵な名前の、優秀な香水。
fregranticaで検索すると、ノートが複雑に出てくる。
爽やかフローラルの実は一筋縄ではいかないのだ。と言うことがよくわかる。
https://www.fragrantica.com/perfume/Frederic-Malle/En-Passant-2793.html
調香師
OLIVIA GIACOBETTI
Olivia Giacobetti has an uncanny ability to create an atmosphere. Having completed her training at Robertet, she founded her own perfume laboratory, Iska, and dedicated her career to doing precisely that. She is the brains and the nose behind the fig accords that have been present in home scents for years.
Reviewー私の感想
テーマは、そよ風に載ってくるライラックの香り。
そんな可愛らしい爽やか香水、私には似合わないかも。それにちょっと少女のイメージじゃない?と思ってお店のひとにおすすめされた時は、試しても買わないだろうなと思っていた。
それなのに。
本当にそよ風に乗ってくるライラックの香りを感じてしまった時にはすっかり虜になっていた。もちろん、トップの香りしか感じていなかったので、面白みはないな。と思って第一候補ではなかったのだけれど。
でもそれは買って一日動き回ってみると違う感想になった。
ライラックにキューカンバーの香り。
ということからもわかるけど、初夏に合う香り。
私は冬でも使う。いやむしろ冬に使うのが好きだ。
冬の寒い空気の中にこの爽やかな花の香りが嫌味でもなくただ自然にかおり、街を歩く気分の幸福度を上げてくれる。