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2015年5月の記事一覧
かわいい!×エシカる?「障がい者アート」は存在しない
瀬戸内、直島銭湯でよく知られているアーティスト大竹伸朗が、角が欠けている15年前にひろったプラスチック定規を箱から取り出し「世界に一つしかない個性」と表現した。飛行機や船の一部を含め大小、膨大な拾得物ひとつ一つに愛着をもち、それにふさわしい場所にはめ込んで作品をつくるアーティストだ。
大竹伸朗に従えば、私たちがもっている個性は、不完全さの中に宿る。
「障がい者アート」というとき、一部機能が停止
封印された写真の持つ力
2015年5月14日
私の水俣のイメージに深く入り込んでいる写真「入浴する智子と母」が、上村さんご自身の意思で封印されているという。
この写真は、母から智子への、感謝、いとおしさ、いつくしみ、悲しみ、悔しさ、こめんなさい・・・という、人類が深い絆を持つときの感情を、ユージン・スミスの純粋な目がとらえたものだ。「ユージン・スミス、水俣に奉げた写真家の1100日」(山口由美、2013年、小学館)で
内藤礼の「ひと」と白いキャンバス
2015年5月3日
内藤礼の「ひと2015」という作品。3〜4cmのひとが、床に2人並んでいる。それが魂をもっているリアルな人として立ち上がってくるので、ゾクっとする。親指姫や一寸法師はリアルな「ひと」であった、と生まれて以来初めて感じた。(資生堂ギャラリー、椿会展、初心2015)
この日、白く塗られたキャンバスをふたつ見た。一つは内藤礼のcolor beginning(資生堂ギャラリー)で起
高松次郎 対話を求める影
2015年3月1日
存在を、影を通して追求したアーティスト高松次郎の展覧会を東京近代美術館でみた。
入り口を入ると赤ん坊の影が二重になった画面というか、絵が現れる。ここに描かれている影はもう一人の自分、魂といってもいい「意識外の自分」を現している、と感じる。
床すれすれに設置された光源を背にして白い壁に向って歩いていく。そうすると床から立ち上がった影が自分の前を歩いているという不思議な2重身