【DTMクラシック】J.N.フンメル/フルートソナタ イ長調,Op.64
昨年末にアップしたニ長調Op.50に続き、イ長調のフルートソナタです。
このソナタは 1814年または 1815年に作曲されたとされ、この時期、歌劇、舞曲、舞台音楽、室内楽の作曲とエステルハージ宮廷での職務に追われていた時期でしたが、妻で歌手の エリーザベト・レッケルの勧めで演奏家としてのキャリアに復帰しました。ナポレオンの野望の終焉を告げる「会議は踊る」と言われたウィーン会議に演奏者としてそのピアノ技術を披露すると、世界各国の首脳が集まるこの場で大絶賛され、各方面から引っ張りだこになります。
前作ニ長調のロココ的な第1楽章とは違う趣で、派手さがない3拍子のピアノのソロで始まります。冒頭の印象とは異なり、おおくの転調で陰影をゆらゆらとまとわりつかせながら、ピアノ演奏者にとってはとても楽しくなる音型が続く魅力的でチャーミングかつ華麗な楽章です。
しかし何よりもこの曲の一番の特徴は第2楽章でしょう。メヌエットとされていますが、スケルツォの要素があり、断片的なフルートの旋律がピアノの継続的な活動に支えられ、ベートーヴェン的な要素のある楽章です。これまでのフンメルの作品にはあまり見られない飛躍するメロディとは対照的な哀愁漂うトリオが印象的です。
フィナーレはテンポの速いロンド。転調やテンポの変化、一時停止が多用され、一転してオペラのアリアのよう感傷的な中間部が聞く者の耳をとらえます。
単純な古典派の作品に思えますが、とてもよく練られていて、とても面白い曲です。フルートソナタニ長調,Op.50の方がフルートパートの華麗さと活躍度で人気を博しており、演奏はあまり多くないよう(録音は多くあり)ですが、私はこのイ長調の方が好きです。
Sheet score createed by Dorico Pro 5
Computer Programming : Hummel Note
Sound:GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA 5/ARIA
Mix & Mastering:SSW10 Lite
Cover Thumbnail made by Ai(Copilot)
About this video
The score used for this video is the same capture screen of Dorico pro5 used for programming. The sound source is VST GARRITAN PERSONAL ORCHESTRA 5, and the mix and mastering are created using another software.
Unlike the actual musical score, the trills are entered at actual pitches, the tempo is specified everywhere, and the dynamics are also recorded while listening to the balance, so it is not suitable for performance.