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夜野綾
2024年9月2日 23:05
ホーソーンの「ラパチーニの娘」には、毒を持つ植物だけを集めた妖艶な庭が出てくる。私には、その庭、あるいは庭の中心で紫の宝石のような花をつける灌木こそが、心惹きつけられる関心事である。その庭で育てられ、肉体そのものが毒性を持つに至った乙女よりも、である。隣の下宿の青年は、庭の不穏なる色のどぎつさを訝しみつつも、やはり庭に行かずにはいられないのだ。むべなるかな、花々の異常なる香気、異様なる輝きはまさ