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森晶麿先生の出だしアイディアで掌篇書いてみた
敬愛してやまない森晶麿先生がTwitterにてこんなことを仰っていた。
指二本では、はらりと落ちてしまったのでたぶん平面だったのだ、彼女は。
という出だしでいろんな掌篇が書けそうだな。
書ける方はぜひ書いてみていただければと
書いた。しかし、晒す勇気がないというツイートをしたら「いやそこはがんばって晒して」というお言葉を頂いてしまったのでがんばることにした。以下、その掌篇である。
指二本では、はらりと落ちてしまったのでたぶん平面だったのだ、彼女は。
また夢が壊れてしまった。気づかないようにしていた。目を背けていた。一度壊れてしまったら、もうこれ以上は続けられない。
「たぶん」なんて表現は他人からすれば笑い種に違いない。
物心ついた時から僕は既にこうだった。活字でしか存在しえない世界を現実と融合させしまう。しかし、融合というのはあくまで常識の範囲での話であって、僕にとっては活字の世界もまた現実なのである。それを人々はおかしい、異端、異常だと言う。
落ちてしまった彼女もとい、紙を抱き上げようとしたその時だった。春の強い風が紙を空高くへと巻き上げた。呆然と空を見上げることしかできない僕。
ああ、春が去ってゆく。