療育と家庭の一貫性について考える|我が家のABA
はじめに
自閉症スペクトラムの次男は、現在、保育園に行きながら週に1回、療育施設に通っています。(昨年までは週5で通ってましたが、引っ越しに伴い施設が変わり週1になっていしまいました。泣)
その通っている療育施設に途中経過を相談する面談に行った際に、「療育においてABAを実践しています。」とのお話がありました。
そもそもABAとは。。と、その時思ったのが本音です。(勉強不足。汗)
療育プログラミングには、何種類かあるようで下記がその代表例です。
療育プログラムの種類
特に、うちの通っている療育はこのABAを実践しています。
ABAは、子どもの行動を観察し、環境に応じた適切な行動を増やすために使われる療育方法です。ABAは、自閉症スペクトラム障害(ASD)やその他の発達障害を持つ子どもたちに対して特に効果的であるとされ、適切な行動を身につけ、不要な行動を減らすためのアプローチとして広く取り入れられています。
以下、ABAについて簡単に紹介します。
ABAとは
ABAの基本的な考え方
ABAは、行動は「環境」と「経験」に影響されると考え、望ましい行動を強化することで、生活全般において役立つスキルを学ぶことを目指します。ABAの療育には、行動が起こる「前後関係」を観察し、適切な対応を行う手法が組み込まれています。
主な要素
行動の定義と測定
特定の行動(例:おもちゃを片付ける、指示に従う)を明確に定義し、進展度を測定しながら目標に向けてステップを設定します。強化(Reinforcement)
望ましい行動が見られたときにその行動を「強化」することで、行動の頻度を高めます。例えば、正しい行動を取った際に称賛、褒美(シール、褒め言葉、お気に入りのおもちゃなど)を与えることで、その行動が繰り返されるよう促します。行動の分解(Task Analysis)
行動を小さなステップに分解して一つずつ教えていきます。例えば、「手を洗う」行動であれば、「蛇口をひねる」「手を濡らす」「石鹸をつける」などの手順に分け、各ステップを習得させることができます。逐次接近法(Shaping)
新しい行動を少しずつ導入する方法で、最終目標に近づく小さな成功を褒めることで、徐々に複雑な行動を身につけます。例えば、最初はスプーンを持つことを目標にし、徐々に自分で食事ができるようにしていきます。プロンプトとフェイディング(Prompt and Fading)
行動を促すためのサポート(言葉やジェスチャーなど)を最初は与え、その後サポートを徐々に減らすことで、子どもが自発的に行動できるように導きます。
ABAの実際の実践例
例1:コミュニケーションスキルの向上
子どもが「水が欲しい」と言えるように教える場合、まず水を示して「水」と言う手本を見せます。子どもが手本を真似したら褒めたり、実際に水をあげたりすることで、正しい表現を強化します。例2:自己管理スキル
順番に並ぶ、待つなどの行動を教えるために、並んだ後に「よくできたね!」と褒めたり、好きなおもちゃで遊ぶ時間を与えたりして、行動の強化を行います。
ABAのメリットと課題
ABAは、子どもが社会的・学習的なスキルを身につけるために非常に効果的であり、長期的な効果が期待されています。しかし、特に自閉症の療育においては、ABAに対する賛否もあります。一部の専門家や保護者からは、ABAの一部の技法が子どもの自発的な表現や興味を抑えるといった批判もあります。そのため、最近では子どもの自尊心や興味を重視しつつ、ABAを柔軟に取り入れる形での療育が推奨されています。
我が家での実践例
1. 自己管理のスキル:片付けを教える
ステップ:
おもちゃ遊びが終わったら片付けることを目標に設定します。
おもちゃの種類ごとに決まった箱や場所を決め、片付けを「ブロックを箱に入れる」「車を棚に戻す」などの小さなステップに分けます。
「ブロックを箱に入れよう!」と声かけしながら促します。
子どもが片付けに成功したら、「上手にできたね!」と褒め、必要に応じてシールやシールカードを使ったり、好きな遊びの時間を少し追加したりして成功体験を強化します。
ポイント: 片付けを小さなステップに分解し、それぞれをクリアするたびに積極的に褒めることで、片付けが習慣化されていきます。
2. コミュニケーションスキル:要求の表現を教える
ステップ:
子どもが好きなもの(お菓子、おもちゃなど)を視覚の範囲に置いて、手が届かない位置に配置します。
「○○(お菓子)が欲しい?」と聞き、子どもが欲しいものに指を差したり、「ちょうだい」と声を出したりするのを待ちます。
正しい要求ができたら「上手に言えたね!」と声をかけ、すぐに欲しいものを手渡します。
要求が徐々にできるようになったら、リクエストの表現(「もっとください」など)も教えていきます。 ポイント: 要求ができたら即座に応じることで、「お願いをすると手に入る」という因果関係がわかりやすくなり、リクエストする行動が習慣化されます。
3. 順番待ちの練習
ステップ:
家族の遊び時間やおやつの時間に「順番」を取り入れます。たとえば、絵本を読む時間や好きな遊びをする際に「お母さんの番だよ」「次は○○ちゃんの番だよ」と順番を意識させます。
子どもが待つのが難しい場合、短い時間からスタートし、「5秒待てたね!」とできたら褒めます。
時間を少しずつ延ばし、待てる時間を長くしていきます。待った後のご褒美も取り入れて、次回の成功体験につなげます。 ポイント: 最初は短い時間から始め、成功体験を重ねていくことで、待つ力が自然と身についていきます。
4. 食事の自立:スプーンやフォークを使う
ステップ:
まずはスプーンを持つことを教えます。手を添えながら、「こうやって持とうね」とサポートし、実際に食べ物を口に運べたら褒めます。
うまくできたら、「スプーンを使えたね!すごい!」と大げさに褒め、成功を強化します。
途中で落としてしまったり、できない時は、無理にやらせず、できる範囲をサポートします。 ポイント: できたことをしっかり褒めて自信をつけさせることで、自発的に使う意欲が湧きやすくなります。
5. 「〇〇しましょう」を理解するための練習
ステップ:
簡単な指示(「手を叩いて」「座って」など)から始めて、言葉と動作を連動させます。
例えば「座って」という指示の後に座れたら、「座れたね、すごい!」と強化し、できたことを賞賛します。
指示を聞いた後、褒めるタイミングを繰り返すことで、日常生活の中でも指示が理解しやすくなります。 ポイント: シンプルな指示から始め、慣れてきたら複数の指示にステップアップしていくとスムーズです。
家庭でのABAのコツ
家庭でABAを実践する際、以下のポイントを押さえると効果的です:
楽しさを大切にする:強化(褒める、ご褒美を与える)を活用し、楽しさを重視して行動を習慣化する。
一貫性:家族全員が一貫して同じ対応を心がけることで、子どももルールを理解しやすくなります。
小さな進歩を見逃さない:少しでも前進した際に褒めることで、子どもが前向きに取り組むようになります。
ABAは、行動を観察し、科学的な手法に基づいて学びを導く非常に有効な療育方法です。行動の定義、強化、手順の分解などの技法により、生活に必要なスキルや望ましい行動を子どもが身につけられるよう支援します。
ABAにとどまらず療育全般ですが、保育園・療育施設・家庭すべてが一貫して実践することが大事です。
ということは、わかっているものの療育・保育園・家庭と一貫させることには正直難しさも感じています。
みなさんの実践例についても聞けると励みなります。
参考になれば幸いです。