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自閉症次男くんが薬の服用を始めた話
私たちの次男は自閉症です。
これまでの投稿で、日常のなかで時に強い癇癪や自己制御の難しさ、そしてこれに対処する際の親のジレンマ等を紹介させていただきました。
そして、その次男は来年から小学校に進学します。(今は、特別支援学校を考えており、教育委員会と相談中です。また別の投稿で経過について紹介できればと思います!)
これらの強い癇癪への対処や進学への準備を考えた際に、さまざまなサポート方法を試してきましたが、医師から薬の併用についても提案され、慎重に検討した結果、””エビリファイ””の服用を試してみることにしました。
エビリファイとは
エビリファイ(主成分アリピプラゾール(Aripiprazole))は、統合失調症や双極性障害の治療に用いられることが多い薬ですが、近年では自閉症スペクトラム障害の方にも、特定の行動問題(攻撃的行動や強い癇癪など)に対応するために処方されることがあります。エビリファイは脳内の神経伝達物質のバランスを調整する役割があり、感情の安定に役立つとされています。
この薬の作用と効果について
脳内の神経伝達物質であるドパミンなどの受容体に作用し、幻覚・妄想などの症状を抑え、不安定な精神状態を安定させるとともに、やる気がしない、何も興味が持てないといったような状態を改善させます。また、抑えることのできない感情の高まりや行動などの症状を改善します。
通常、統合失調症の治療、双極性障害における躁症状の改善、うつ病・うつ状態の治療、小児期(原則として6歳以上18歳未満)の自閉スペクトラム症に伴う易刺激性の治療に用いられます。
服用を決めるまでの背景
薬の服用を決めるのは簡単ではなく、私たち家族で多くの話し合いを重ねました。薬を使うことへの不安もありました。
使わないので良ければ使わないに越したことはない。医師も同じ考えでした。
ただそれ以上に、体が大きくなるにつれて癇癪のレベルも比例して大きくなり手に負えないことがあること。そして、お友達への怪我や備品・施設等を破損させてしまう恐れがあること。なにより、本人自身が気持ちの起伏が大きく辛そうであること。
これらを考え薬の助けで少しでもいい方向に向かうならと、医師の説明や経験談を参考にしながら「次男にとって、日常が少しでも穏やかに過ごせるなら」という気持ちで、段階的な試用を始めることにしました。
段階的な試用と効果の見極め
エビリファイの服用は少量からスタートし、次男の状態を見ながら慎重に増減を行っています。初めての服用では効果がすぐに現れるものではありませんが、医師のアドバイスに従って、1日ごとに様子を見守りながら続けています。
現在は、使い始めてから約2月です。その間に、薬の効果や副作用、服用の仕方(日常的に飲むべきか、荒れているときのみに留めるか)を試しながら最善の服用要領を見極めています。
最初の1カ月: 1mgでの段階的な試用
最初の1カ月は、1mgを1週間連続で服用し、その後1週間服用を控えるというスケジュールで、薬の効果や副作用がどの程度現れるかを観察しました。効果としては、服用により次男が少し穏やかに過ごせる場面が増えた反面、やめた週は、気持ちが落ち着かない様子で大きな癇癪を起すことが増えました。
この1カ月で、服用開始の直後や服用止めた後の数日間は逆に癇癪が悪化している様子であり、医師に相談した結果、
・ 感情を落ち着かせる一定の効果はある。
・ しかし、1mgではその効果は限定的であり、適量はまだ見極めが必要
・ 顕著な副作用は、見られない。
・ 服用するなら継続的に服用する。服用しないならしない。
そのため、「2カ月目は、2mgを1カ月間継続して服用して適量を探しましょう。」との結論に至りました。
2か月目: 2mgへ増量しての経過観察(現在)
先述の通り、1ヶ月目の結果を踏まえ、現在は2mgに増量して経過観察を行っています。
この増量によって、次男の安定した感情が少し長く続くように感じていますが、副作用や薬の影響が強く出ないかも見守りつつ、必要に応じて荒れた際に服用する方法も検討しています。
私たち家族としては、この薬が次男の生活の質を少しでも向上させるためのサポートになることを願っています。しかし、薬がすべての解決策ではなく、家庭での対応や療育とのバランスも大切にしていきたいと考えています。
家庭でできる対応との併用
エビリファイに頼りすぎず、私たちは家庭でのABA(応用行動分析)や日常の安定したスケジュールの確保など、他のサポート方法と併用しながら次男を支えていきます。薬の服用とともに、本人の自立や成長を一歩ずつ見守りたいと思います。
最後に
薬の服用は一つの選択肢であり、今後も次男の反応を見て継続の判断をしていきます。
私たちは今回進学をきっかけに”エビリファイ"の服用を決意しましたが、皆さんはどうされていますか?
育児や療育について悩みが尽きない日々ですが、私たち家族は次男にとって少しでも穏やかで充実した毎日を作るために努力を重ねていきます。