ゲムマ2024秋「メモリクエストのこと」
ゲムマ秋は、京まふ京都ゲムマの新作「アニマルジャンプ」とともに「メモリクエスト」というカードゲームを出す予定。一応、「宝石がいっぱい!」「アニマルジャンプ」「メモリクエスト」を一括りとしてメモリー3部作とする方向性でいるが、「宝石といっぱい!」と「アニマルジャンプ」が同じ方向性のものとすると、「メモリクエスト」は若干、着想の原点が異なる。
はっきりしていることは「プルプンザック」が原点ということ
プルプンザック
「プルプンザック」は様々な道具カードが伏せられて円形状に並び、手番では1枚カードをめくると、次にめくらねばならないカードが矢印と数字で示される。
そのカードの道具がなんであるのか答えるゲーム。それが当たるとさらにそのカードにも矢印が書いてあり次の問題もクリアしなければならない。オープンされたカードにたどり着けば、やっとそのカードが手に入る。
はじめは大変だが、繰り返していくうちに、だんだん道具の位置がわかってくる。
ユーロゲームとの出会い
「プルプンザック」は、2005年頃、たまたま訪れた「ペンギンズハウス」という輸入雑貨や絵本を並べるお店で見つけた。それは絵本などとともに大事に棚に飾られていた。
この時、ゲームとアートのセンスは両立して結びつくのだとはじめて知った。
そして、さらに何に驚いたかと云うと、カードをめくることによってお題がランダムに自動生成されること。そのシステマティックな動きが非常にユニークに感じられた。
いままでカードゲームと云えばトランプしか知らなかったので、数や記号など抽象的な物よりも、テーブルの上でイラストがあふれた世界はウイットに富んで魅力的に感じられた。
そこから「虹色のへび」「猫とネズミの大レース」「カヤナック」「飴ちゃん工場」…等々、一作一作遊ぶごとに異なる世界が広がるヨーロッパのゲームも知ることとなった。
時代の変化
ちなみにこの当時、木のおもちゃ屋さんなど探しては通ったが、街の片隅にあった吉祥寺の「おばあちゃんの玉手箱」やこの国立の「ペンギンハウス」もなくなっちゃったな…
かつて、ひっそりと街の片隅で売られ輝いて見えたゲームは現在、大型量販店で簡単に入手可能となった。ただヨド〇シなどのボードゲームコーナーなど行くと、大量にカードゲームなどあるが雑然に並べられ、そこがゲームの墓場に見えてしまう。とても残念だ。
ヒッポホップ、つまり自分もこんなゲームが作りたい!
ちょっと話は逸れた。
2005年から下ってそんな思い出も忘れた2022年。
この時期はコロナ真っ最中で、あまりパーティゲームやキッズゲームなど遊ばず、傾向としては中量級から重量級のゲームを遊んでいた。
ただこんなゲームばかり遊んでいたので、結局「ワーカープレイスメントしてパラメーターを上げポイントサラダ的に得点を割り振っていく作業」に、若干、食傷気味であったことも事実だ。
そんな時に「ヒッポホップ」というキッズゲームに出会った。
突如、新鮮な風が吹き起りユーロゲームを遊び始めた頃の初心が戻ってきたような感じがした。
「おお、これはかつてのプルプンザックだ!しかもフラミンゴがカバの背中を渡っていくなんて、なんてルールとテーマがマッチしているんだ!」
そして「プルプンザック」を見つけた当時との違いは、自分もインディーながらゲムマで出展していること。
つまり「自分もこんなゲームが作りたい!」と思った。
世界はぐるぐる回る。
「何かがぐるぐる回ること。そしてメモリーゲームを作る」というアイデアは出たが、これだけでは「ヒッポホップ」や「プルプンザック」となんら変わらない。そこでここにセットコレクションの要素を付け加えることにした。あるカードの種類を集めると得点が跳ね上がったりするお馴染みのシステム。
ただ実際、試作品を作ってみると全く面白くない。
手元にカードが増えてくると楽しいというよりか記憶する要素が増えてくるので煩雑に感じられた。
空転、ぐるぐる回る。アイデアは行き詰った。
チャップリンの独裁者
再びこのアイデアが去来したのは、今年に入って3月頃のこと。
白黒の古い映画「チャップリンの独裁者」を見返していた時である。
(子供の頃、チャップリンの映画をよく観ていた)
映画はファシズムや戦争の暴力を痛烈に批判した映画であるが、一番下っ端の兵隊チャップリンが上官たちに命じられて「不発弾」を取りに行かされるシーン。
砲弾に近づこうとすると、なぜか弾頭がチャップリンの方に向く。そっとよけると、ひょいと勝手に向きを変える。最後は砲弾はぐるぐる回って爆発してしまう。
ここで気づいた。今回のゲームの場合、カードが集まるより、手元でカードがバーストしちゃう方が憶える要素が減って楽しいなと。
逆バースト
さらに、ちょうどゲムマ2024春の頃「幸せに大切なモノ」というバーストするカードゲームを作っていた時期でもあり、それはいかにバーストしないで得点を保持するかというゲームであったが、その得点方法を逆手にとって、今回は反対にバーストさせてマイナスの得点を減らすというやり方。「逆バースト」というアイデアを考えた。
ユーザビリティ
さて、今に至るまでの経路を書いてきたが、テストプレイをしてくれた仲間たちにも感謝する。はじめ1枚のカードは外周を回る物であったが、時に手を伸ばして取るのに若干の不自由で、ルールとしては問題ないのだがユーザビリティが悪い物だった。それをテストプレイの時ゲムマ同人ゲーム収集家スゲさんのアイデアが一発で簡単に解決させてしまった。ちょっとこの修正がなければゲムマに出そうとは思わなかっただろう。
やっと夏が終わる。
春から夏にかけて「アニマルジャンプ」と「メモリクエスト」に掛かりきりだった。やっともう少しで暑い夏も終わる。あとは「メモリクエスト」の箱作りとルールの印刷だけである。
もしこれを読んで興味がある方はゲームマーケット秋「幕張メッセ」の会場に来ていただければ幸いである。
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