味のしないキスばかり
いつだって 二人きりの夜の路地だった
いつだって 秘密が多過ぎた僕らだから
生まれたての赤子の脇を抱えるみたいに
僕の両手が君のうなじを静かに支える
いつだって 傾けるのは僕の役目だった
いつだって 目を早く閉じ過ぎる君だから
紅く染まる頬に弧を描く睫毛を見つめ
かじかむ手のひらが君の体温に溶けていく
刹那の永さと近づく勇気を君は知らない
味のしない愛に惑星は自転を止める
いつだって 喋り出すのも僕の仕事だった
いつだって 街灯を見つめ頷くだけの君だから
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