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【企業経営理論#23】M&A
M&A
今回は、” M&A ”についてです。
M&Aとは、”Mergers and Acquisitions”の略で、日本語では”合併と買収”という意味です。
簡単に言うと、複数の企業が一つになること、またはある企業が他の企業の経営権を取得することです。
M&Aは、企業が成長や事業再編を実現するための有効な手段です。
M&Aの形態
M&Aには、大きく分けて 合併 と 買収 の2つの形態があります。さらに、それぞれの手法によって細分化されます。
1)合併:2つ以上の企業が合意のもとに一つの企業になること。
吸収合併:既存の企業が他の企業を吸収し、存続会社と消滅会社が発生する。
一方の会社が存続し、もう一方の会社が吸収される携帯。
吸収される側の権利義務は、存続会社に移転する。
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新設合併:新しい会社を設立し、既存の企業はすべて消滅する。
複数の会社が消滅し、新たに1つの会社を設立する形態。
新会社に、消滅する会社の権利義務がすべて移転する。
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2)買収:ある会社がほかの会社の経営権を取得する形態。
株式買収:買収する企業(買収企業)が、買収される企業(被買収企業)の株式を取得することで、その企業の経営権を握る方法。(経営権を取得するためには、51%以上の株式の保有が必要)
株式譲渡:ある会社の株主が、保有している株式を他の会社や個人に譲り渡すことで、会社の所有権(経営権)を移転させる方法。
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株式交換:買収企業が、自社の株式または現金を対価として、被買収企業の株式をすべて取得し、完全子会社化する方法。
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3)その他の連携:
事業譲渡:被買収企業が、事業の一部または全部を買収企業に譲渡する方法。株式ではなく、事業そのものを譲渡するのが特徴。
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会社分割:保有している事業の一部または全部を切り離し新しい会社(新設分割会社)を設立してその事業を承継させる、あるいは既存の別の会社(吸収分割会社)に承継させる手法。
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合弁事業(ジョイントベンチャー):複数の企業が共同で出資し、新しい会社を設立して事業を行う形態。
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戦略的提携(アライアンス):複数の企業が、特定の目的を達成するために、資本関係と伴わずに提携する形態。
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株式買収の手法
株式買収には、様々な手法があり、代表的なものをいくつかご紹介します。
主な株式取得の手法
1)相対取引
証券取引所などの市場を介さずに、当事者間で、株式を保有している株主から、直接株式を買い取る方法。
2)株式公開買い付け (TOB:Take Over Bid)
買収企業が証券取引所外で、被買収企業の株式を公開で買い付ける方法。
買収企業は、買い付け期間、買い付け価格、買い付け予定株数などを 事前に公表し、対象企業の株主に対して、株式を売却するよう勧誘する。
3)経営陣買収(MBO:Management Buy Out)
企業の経営陣が自社の株式を買収し、経営権を取得する方法。
MBOでは、経営陣が自ら会社のオーナーとなるため、独立性を維持 し、親会社やほかの株主からの干渉を排除し、経営の自由度を高めることができる。
4)LBO (レバレッジド・バイアウト)
買収対象企業の資産や将来のキャッシュフローを担保に、金融機関等から融資を受け、その借入金を活用して企業買収を行う方法。
少ない自己資金で、大きな買収を実現できる点がメリット。
M&Aの目的
企業がM&Aを行う目的は様々ですが、主なものをいくつかご紹介します。
事業拡大:新規市場への参入や新製品の開発など、事業を拡大する。
競争力強化:競合を買収することで、市場シェアを拡大し、競争力を強化 。
シナジー効果:企業同士の技術やノウハウを融合することで、シナジー効果を生み出す。
コスト削減:規模の経済を追求し、コストを削減する。
事業再編:不採算事業を売却し、収益性を改善する。
後継者問題:後継者がいない場合に、事業承継の手段としてM&Aを利用する。
など
M&Aのメリット
迅速な事業拡大:単独での事業拡大や新規事業を立ち上げる際に、すでに市場で実績のある企業を買収することで、より迅速に事業を拡大できる。
シナジー効果:たとえば、技術力のある企業と、販売網の強い企業が合併するなど、企業同士の強みを組み合わせることで、シナジー効果を生み出すことができる。
リスク分散:異なる事業を持つ企業をM&Aすることで、リスクを分散することができる。
経営資源の活用:M&Aによって、優秀な人材を獲得したり、先進的な技術を取り入れることで、競争力を強化できる。
M&Aのデメリット
コスト:買収価格が高額になる場合や、統合のための費用がかさむ場合など、巨額なコストがかかる場合がある。
統合リスク:企業文化の違いから従業員のモチベーションが低下したり、意思疎通がうまくいかず、業務効率が低下したりする可能性がある。
従業員の反発:M&Aによる雇用不安や待遇の変化に対する不満から、従業員が不安や反発を感じる可能性がある。
時間:M&Aのプロセスには、交渉、デューデリジェンス⁽¹⁾、統合など、多くの時間が必要。
1)デューデリジェンス:投資や買収を行う際に、買収企業が被買収企業の実態を把握するために行う詳細な調査/分析のこと。
まとめ
今回は、M&Aについてまとめました。
M&Aは、企業が成長や事業再編を実現するための有効な手段ですが、リスクとコストを伴うため、慎重な検討と計画が必要です。
M&Aを成功させるためには、明確な戦略、綿密なデューデリジェンス、 統合計画、コミュニケーション、リーダーシップなどが重要となります。
次回は、新規事業開発/イノベーション戦略についてです。
復習問題
問題1:穴埋め問題
M&Aとは、( ① )の略で、日本語では( ② )という意味。
吸収合併では、既存の企業が他の企業を吸収し、( ③ )会社と( ④ )会社が発生する。
株式買収では、買収する企業が、買収される企業の( ⑤ )%の株式を取得することで、その企業の経営権を握ります。
問題2:正誤問題
M&Aは、企業が成長や事業再編を実現するための有効な手段ではない。( ○ / × )
吸収合併では、両方の会社が存続する。( ○ / × )
株式交換では、買収企業が自社の株式を対価として、被買収企業の株式をすべて取得する。( ○ / × )
事業譲渡では、株式ではなく、事業そのものを譲渡する。( ○ / × )
戦略的提携では、複数の企業が、資本関係を伴って提携する。( ○ / × )
問題3:記述問題
M&Aの目的を3つ挙げてください。
M&Aのメリットを3つ挙げてください。
M&Aのデメリットを3つ挙げてください。
株式公開買い付け (TOB) とは、どのような手法ですか?
経営陣買収 (MBO) とは、どのような手法ですか?
問題4:多肢選択問題
以下のうち、M&Aの形態として適切なものをすべて選びなさい。
a. 合併 b. 買収 c. 会社分割 d. 合弁事業 e. 戦略的提携
問題5:多肢選択問題
以下のうち、M&Aの目的として適切なものをすべて選びなさい。
a. 事業拡大 b. 競争力強化 c. シナジー効果 d. コスト削減 e. 従業員の反発
問題6:多肢選択問題
以下のうち、M&Aのメリットとして適切なものをすべて選びなさい。
a. 迅速な事業拡大 b. シナジー効果 c. リスク分散 d. コスト e. 統合リスク
問題7:記述問題
あるIT企業が、競合他社を買収することを検討しています。 どのようなメリットとリスクが考えられるでしょうか?
問題8:記述問題
M&Aにおいて、統合リスクを軽減するためには、どのような対策が必要でしょうか? 具体的な例を挙げて説明してください。
解答
問題1
① Mergers and Acquisitions ② 合併と買収
③ 存続 ④ 消滅
⑤ 51
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