見出し画像

【企業経営理論#26】3つの基本戦略


3つの基本戦略

今回は、” 3つの基本戦略 ”についてです。

3つの基本戦略とは、マイケル・E・ポーターが提唱した競争戦略論における概念で、企業が競争優位を築き、業界内で成功するための基本的な戦略です。


具体的には、

  1. コストリーダーシップ戦略

  2. 差別化戦略

  3. 集中化戦略

の3つを指します。

3つの基本戦略


企業は、自社の強み弱み業界競争状況などを考慮して、これらの基本戦略から最適なものを選択する必要があります。





1. コストリーダーシップ戦略

  • 定義:業界内で最も低いコストで製品やサービスを提供することで、競合よりも低い価格を設定し、市場シェアを獲得する戦略。

  • 目的低価格を武器に、競合を排除し、市場を支配する。

  • 実現方法

    • 規模の経済:大量生産によって、1単位あたりのコストを削減する。

    • 経験効果:経験を積むことで、作業効率を向上させ、コストを削減する。

    • サプライチェーンマネジメント:調達から販売までのサプライチェーン全体を効率化する。

    • 技術革新:新しい技術を導入することで、コストを削減する。

    • コスト意識:組織全体でコスト意識を高め、無駄を排除する。

  • メリット

    • 価格競争力:低価格で商品を提供できるため、価格競争に強い。

    • 収益性:コストが低いため、高い収益を確保できる。

    • 参入障壁:低価格によって、新規参入を阻害することができる。

  • デメリット

    • 品質:品質が犠牲になる可能性がある。

    • ブランドイメージ:低価格のイメージが定着してしまうと、高価格帯の商品を販売するのが難しい。

    • 環境変化:技術革新や顧客ニーズの変化に対応するのが難しい。

  • 向いている企業

    • 大量生産が可能な企業

    • 標準化された製品を製造する企業

    • コスト削減能力の高い企業

    • ユニクロ、ニトリ、マクドナルド





2. 差別化戦略

  • 定義:製品やサービスに独自の価値を付加することで、顧客から高い価格(低価格ではない)を支払ってもらう戦略。

  • 目的差別化によって、価格競争を回避し、高い収益を確保する。

  • 実現方法

    • ブランド:強力なブランドイメージを構築する。

    • 品質:高品質な製品やサービスを提供する。

    • デザイン:優れたデザインを採用する。

    • 機能:独自の機能を搭載する。

    • サービス:優れた顧客サービスを提供する。

    • マーケティング:効果的なマーケティング活動を行う。

  • メリット

    • 価格競争回避:差別化によって、価格競争に巻き込まれにくい。

    • 収益性:高い価格で商品を販売できるため、高い収益を確保できる。

    • 顧客ロイヤリティ:顧客ロイヤリティを高めることができる。

  • デメリット

    • コスト:差別化には、コストがかかる。

    • 模倣:差別化が容易に模倣される可能性がある。

    • 顧客ニーズ:顧客ニーズの変化に対応するのが難しい。

  • 向いている企業

    • 独自技術を持つ企業

    • 顧客ニーズを捉えるのが得意な企業

    • マーケティング能力の高い企業

    • Apple、スターバックス、無印良品





3. 集中化戦略

  • 定義特定の顧客セグメントに焦点を当て、そのニーズを満たすことに特化する戦略。

  • 目的特定の市場で高いシェアを獲得し、収益を上げる。

  • 実現方法

    • 市場:ニッチ市場、特定の顧客層、特定の地域など、ターゲットを絞り込む。

    • ニーズ:ターゲット顧客のニーズを深く理解し、満たすことに特化する。

    • 専門性:特定の分野で専門性を高める。

  • メリット

    • 競争回避:大企業との競争を避け、ニッチ市場で優位性を築くことができる。

    • 顧客ロイヤリティ:ターゲット顧客のニーズを満たすことで、顧客ロイヤリティを高めることができる。

    • 収益性:ニッチ市場で高いシェアを獲得することで、収益性を高めることができる。

  • デメリット

    • 市場規模:ニッチ市場は、市場規模が小さい。

    • リスク:ターゲット市場の変化に影響を受けやすい。

    • 大企業:大企業が参入してきた場合、競争が激化する。

  • 向いている企業

    • 中小企業

    • 専門性の高い企業

    • ニッチ市場で競争力のある企業

3つの基本戦略の組み合わせ

これら3つの基本戦略は、相互排他的なものではなく、組み合わせて用いることもできます。

例えば、差別化コストリーダーシップ両立させることで、より強力な競争優位を築くことができる可能性があります。

ただし、どっちつかずの戦略をとることでスタック・イン・ザ・ミドル⁽¹⁾に陥らないように気を付ける必要があります。

1)スタック・イン・ザ・ミドル:複数の競争戦略を同時に追求しようとして、結果的にどの戦略も中途半端になり、競争優位性を築けない状態。





まとめ

今回は、3つの基本戦略についてまとめました。
3つの基本戦略は、企業が競争優位を築くための基本的な戦略です。

企業は、自社の状況や市場環境に合わせて、最適な戦略を選択する必要があります。

復習問題

問題1:穴埋め問題

  1. コストリーダーシップ戦略とは、業界内で最も低い( ① )で製品やサービスを提供する戦略。

  2. 差別化戦略とは、製品やサービスに独自の( ② )を付加する戦略。

  3. 集中化戦略とは、特定の( ③ )に焦点を当てる戦略。

問題2:正誤問題

  1. コストリーダーシップ戦略では、高価格で商品を販売する。( ○ / × )

  2. 差別化戦略では、顧客ロイヤリティを高めることができる。( ○ / × )

  3. 集中化戦略では、大企業との競争に積極的に挑む。( ○ / × )

  4. 3つの基本戦略は、組み合わせて用いることもできる。( ○ / × )

  5. スタック・イン・ザ・ミドルとは、複数の競争戦略を同時に追求することで、競争優位性を築けない状態を指す。( ○ / × )

問題3:記述問題

  1. コストリーダーシップ戦略のメリットとデメリットをそれぞれ2つ挙げてください。

  2. 差別化戦略のメリットとデメリットをそれぞれ2つ挙げてください。

  3. 集中化戦略のメリットとデメリットをそれぞれ2つ挙げてください。

  4. 3つの基本戦略を組み合わせる際の注意点を説明してください。

問題4:多肢選択問題

以下のうち、コストリーダーシップ戦略に向いている企業として適切なものをすべて選びなさい。

a. 大量生産が可能な企業 b. 独自技術を持つ企業 c. 標準化された製品を製造する企業 d. 顧客ニーズを捉えるのが得意な企業 e. コスト削減能力の高い企業

問題5:多肢選択問題

以下のうち、差別化戦略に向いている企業として適切なものをすべて選びなさい。

a. 大量生産が可能な企業 b. 独自技術を持つ企業 c. 顧客ニーズを捉えるのが得意な企業 d. マーケティング能力の高い企業 e. コスト削減能力の高い企業

問題6:多肢選択問題

以下のうち、集中化戦略に向いている企業として適切なものをすべて選びなさい。

a. 大企業 b. 中小企業 c. 専門性の高い企業 d. ニッチ市場で競争力のある企業 e. コスト削減能力の高い企業

問題7:記述問題

ある飲食店が、3つの基本戦略をどのように活用できるか、具体的な例を挙げて説明してください。

問題8:記述問題

ある自動車メーカーが、差別化戦略を追求する際に、どのような点に注意すべきでしょうか?

問題9:記述問題

集中化戦略を採用するメリットとリスクを、具体的な企業例を挙げて説明してください。

解答

問題1

  1. ① コスト

  2. ② 価値

  3. ③ 顧客セグメント

ここから先は

526字

今の自分に満足していますか? 日々の業務に追われ、漠然とした不安を抱えていませんか? もしあ…

スマートラーニングプラン(スタンダードプラン)

¥500 / 月

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?