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【企業経営理論#27】バリューチェーン


バリューチェーン

今回は、” バリューチェーン ”についてです。

バリューチェーン(価値連鎖)とは、マイケル・E・ポーターが提唱した概念で、企業の活動を 「顧客に価値を提供する一連の流れ」 として捉えるフレームワークです。

企業は、原材料の調達から始まり、製造、販売、アフターサービスに至るまで、様々な活動を行っています。バリューチェーン分析では、これらの活動を一つずつ分析し、どの活動がどれだけの価値を生み出しているのかを明らかにします。





バリューチェーンの構成要素

ポーターは、バリューチェーンを主活動支援活動の2つに分類しました。

1.主活動:製品やサービスを直接顧客に提供するための活動。

  • 調達:原材料や部品などの調達活動。

  • 製造:製品の製造やサービスの提供。

  • 販売:製品やサービスの販売活動。

  • マーケティング:広告宣伝、販売促進、広報活動など。

  • サービス:アフターサービス、顧客サポートなど。

2.支援活動:主活動を支える活動。

  • 企業インフラストラクチャ:全社的な管理、財務、法務、企画など。

  • 人事・労務マネジメント:従業員の採用、育成、評価、報酬など。

  • 技術開発:研究開発、製品設計、プロセス改善など。

  • 調達:主活動の調達とは異なり、設備や機器などの調達活動。

バリューチェーン





バリューチェーン分析の目的

  • 競争優位の源泉:どの活動が競争優位に貢献しているのかを特定する。

  • コスト削減非効率な活動を明確化し、コスト削減を図る。

  • 差別化価値創造する活動を強化し、差別化を図る。

  • 業務改善プロセス改善を通じて、効率性品質 を向上させる。





バリューチェーン分析の手順

  1. 自社のバリューチェーンを明確にする:自社の活動を主活動支援活動 に分類し、可視化する。

  2. 各活動のコストを分析する:各活動にどれだけのコストがかかっているのかを分析する。

  3. 各活動が生み出しているバリュー(価値)を分析する:各活動が顧客にとってどれだけの価値を生み出しているのかを分析する。

  4. 競合との比較競合のバリューチェーンと比較することで、自社強み弱みを明確にする。

  5. 改善非効率な活動や生産性が低い活動を改善する。





バリューチェーン分析のポイント

  • 顧客視点顧客にとっての価値を基準に分析を行う。

  • 全体最適:個々の活動だけでなく、全体としての最適化を目指す。

  • 外部環境市場技術などの変化を考慮する。

  • 継続的な改善:バリューチェーンは動的なものであり、継続的に改善を行う必要がある。





バリューチェーンとサプライチェーン

バリューチェーンとサプライチェーンは、どちらも企業の活動を一連の流れとして捉える概念ですが、視点焦点が異なります。

バリューチェーン

  • 視点顧客

  • 焦点価値 (Value)

  • 目的:顧客に価値を提供する活動を分析し、競争優位構築する。

  • キーワード価値創造差別化コスト収益性

サプライチェーン

  • 視点製品/サービス

  • 焦点供給 (Supply)

  • 目的:製品やサービスを効率的に顧客に届ける

  • キーワード調達生産物流在庫管理情報共有

  • アパレルメーカー

    • バリューチェーン:素材調達 → 製品企画 → 製造 → マーケティング → 販売 → アフターサービス

    • サプライチェーン:素材調達 → 生産 → 物流 → 販売

  • 飲食店

    • バリューチェーン:食材調達 → 調理 → 接客 → サービス → 空間デザイン

    • サプライチェーン:食材調達 → 調理 → 提供

簡単にまとめると、
バリューチェーンは価値の創造、サプライチェーンは効率的な供給に重点をおいています。





まとめ

今回は、バリューチェーンについてまとめました。
バリューチェーン分析は、企業が競争優位を確立し、維持するための フレームワークです。

バリューチェーン分析を活用することで コスト削減差別化業務改善など、様々な効果を期待することができます。

次回は、競争地位の4類型についてです。

復習問題

問題1:穴埋め問題

  1. バリューチェーンは、企業の活動を( ① )として捉えるフレームワーク。

  2. バリューチェーンは、( ② )と( ③ )の2つに分類される。

  3. 主活動は、製品やサービスを直接顧客に提供するための活動であり、( ④ )、製造、販売、( ⑤ )、サービスなどが含まれる。

  4. 支援活動は、主活動を支える活動であり、企業インフラストラクチャ、( ⑥ )、技術開発、調達などが含まれる。

問題2:正誤問題

  1. バリューチェーン分析では、どの活動がどれだけの価値を生み出しているのかを明らかにする。( ○ / × )

  2. バリューチェーン分析の目的は、競争優位の源泉を特定すること、コスト削減、差別化、業務改善などである。( ○ / × )

  3. バリューチェーン分析では、顧客視点で分析を行う必要はない。( ○ / × )

  4. バリューチェーンは静的なものであり、一度分析すれば終わりである。( ○ / × )

  5. バリューチェーンとサプライチェーンは、同じ概念である。( ○ / × )

問題3:組み合わせ問題

次のバリューチェーンの構成要素と、具体的な活動を正しく結び付けてください。

問題4:記述問題

  1. バリューチェーン分析の目的を3つ挙げてください。

  2. バリューチェーン分析のポイントを3つ挙げてください。

  3. バリューチェーンとサプライチェーンの違いを説明してください。

問題5:多肢選択問題

以下のうち、バリューチェーンの主活動に含まれるものをすべて選びなさい。

a. 調達 b. 人事・労務マネジメント c. 製造 d. 技術開発 e. 販売

問題6:多肢選択問題

以下のうち、バリューチェーンの支援活動に含まれるものをすべて選びなさい。

a. 企業インフラストラクチャ b. 調達 c. 販売 d. マーケティング e. サービス

問題7:記述問題

ある小売企業が、バリューチェーン分析を行う際に、どのような点に注意すべきでしょうか? 具体的な例を挙げて説明してください。

問題8:記述問題

ある飲食店が、バリューチェーン分析を行う際に、どのような情報を収集すべきでしょうか? 具体的な例を挙げて説明してください。

問題9:記述問題

バリューチェーン分析において、「顧客視点」が重要である理由を説明してください。

問題10:記述問題

バリューチェーン分析とサプライチェーンマネジメントをどのように連携させることができるか、具体的な例を挙げて説明してください。

解答と解説

問題1

  1. ① 顧客に価値を提供する一連の流れ

  2. ② 主活動 ③ 支援活動

  3. ④ 調達 ⑤ マーケティング

  4. ⑥ 人事・労務マネジメント

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