『呼ぶ』
『嵐を呼ばない男』とは私のことである。
いつまでも平穏を求めている。
新卒の研修で自己紹介のポスターを作らねばならなかった際、当時出会って1週間の同期に「俺のイメージどんな感じ?」と聞くと、
『波風立てないように生きてる』と返されたくらいである。当時私は何をしてそう思われたかはわからないが、全くその通りなのでつい笑ってしまった。
そんな石原裕次郎とは正反対の私がほんの少しだけ、ときどき刺激を求めることがある。
普段は、理不尽に怒られようが何も言わず『申し訳ありませんbot』になっている訳だが、心の中で「今ちょっと言い返したらどうなるんだろう」という悪魔の囁きが唸るときがあるのだ。
更に怒られるのか、はたまた深く言及してくるのか、気になって仕方がなくなってくる。
とは言っても波風を立てたくない私は「...いやそういう訳じゃないですけどね...」とボソッと言うことくらいしか出来ない。台風どころか、つむじ風くらいしか立たないのである。
そんな『つむじ風を呼ぶ男』の私が、台風を呼べる日はいつか来るのだろうか?