![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/81709614/rectangle_large_type_2_a25eab9fca8437854b87bdd4b3bbdd00.png?width=1200)
【実例紹介】自社開発したAIで外観検査を効率化!
「外観検査」とは、部品や製品など「もの」を作る工程において、部品や製品の表面をチェックし、汚れやゆがみ、傷、欠けなどがないかについて確認する検査のことです。自社で作成されたものが、国・業界・自社基準により定められた規定値を満たしているか?について管理するための重要な工程です。
その検査内容は多種多様。対象となる商品や、チェック箇所によってさまざまなパターンが存在します。
作成した機材に傷が無いか?
整形した商品にバリ(製品の加工時にできてしまう出っ張りやギザギザ)が残っていないか?
部品が正しくはめられているか?
などが、検査時に確認すべきポイント例としてあげられます。
外観検査は、経験を積んだ検査員の手によって、顕微鏡経由で表面の状態を確認する、などのように、経験も人手も必要となる工程です。そのため、この工程をある程度自動化することで、人員配置の効率化と人件費の削減が見込めます。
また、人間が検査を担当する場合は、どうしても作業が続くと疲れてしまいます。そのため、時間経過に伴い検品ミスが増えますが、AIは疲れ知らずです。時間帯を問わず検査を進めることができる上、品質向上にも繋がります。
外観検査AIの利用イメージ
AIを外観検査の工程に取り入れることで、現在、人間の「目」より行われている製品チェックの一部を代替したり、ダブルチェックの工程をシステムが代行できるようになります。
以下はAIによる外観検査のイメージ図です(図1)。製品を撮影したカメラ画像や顕微鏡画像から、製品表面についた傷を見分けるAIを作成し、検査システムの一環として利用します。
![](https://assets.st-note.com/img/1656942586482-x6U67ogWgt.png?width=1200)
今回は、上記の「傷をみわけるAI(外観検査AI)」を、はじめてさんでも簡単にAI開発できるツール・Humanome Eyes を使って自作し、実際に判定するまでの流れをご紹介します。
Humanome Eyesについては、以下のシリーズで操作方法を詳しく解説しています。本記事と合わせてご覧ください。
目標設定とAI活用のイメージを考える
AI開発を行う際は、最初に「目標設定」からスタートします。
外観検査においてAIに期待されている役割は、既に人間の手によって行われている工程をAIに代替してもらいたい、というようなものが多いと思います。このような場合は「傷を見つける」「ひずみを見つける」などが目標となります。
AI導入のスタート地点となる「目標設定」を決めるのと同時に、ゴール地点となる「AIを運用する際のイメージ」も一緒に固めておきましょう。開発したAIの使い道としては、以下のような例があげられます。運用方法も一緒に考えることで、AIの目標設定も明確になります。
顕微鏡経由で撮影された写真の中に金属の傷が写り込んでいるか?についてAIが同定することで、検査担当者の業務をサポートする
ベルトコンベアの上を流れる製品をカメラで計測し、表面・辺縁などに欠けのある部品を見つける。見つけ次第、自動でその製品をベルトコンベア上から排除する。
![](https://assets.st-note.com/img/1656997820383-1bqfpYK03d.png?width=1200)
画像収集
次は、AIを運用する際に、実際にAIに読み込ませる写真と同等の環境・状況で撮影した写真を集めます。
検品前の製品群は、ほとんどの製品には傷やひずみはなく、ごく一部の製品だけ傷が発生している、という状態と思われます。しかし、傷をみつけるAIを開発するには、この「ごく一部」の製品とはどのようなものなのか?をAIに学ばせる必要があります。できるだけ多くの傷がある製品写真を集めることで、どのような形状のものを「傷」と判断すればよいのか?をAIに伝えます。
写真を集める際は、実際にAIを運用する時と同様の環境で撮影された画像を集めて下さい。
極端に傷をズームアップした画像
人為的に沢山の傷を付けたような画像
検査環境とは異なる明るさの場所で撮影した画像
上記にあげたような、AI運用時とは異なった条件で撮影された画像でAIを開発すると、現実の傷の見え方とは異なる事例に特化したAIが完成してしまい、実用時に傷を検出できなくなる可能性があります。
アノテーション
傷が写った画像に対し、傷があると判定される場所に、「ここは傷だよ」としるしを付けていくことを「アノテーション」と言います(図3)。Humanome Eyesでは、写真を読み込ませたあとに、ブラウザ上で傷の場所を四角く囲うとアノテーションを作成できます。マウスだけで操作できるので、特別な専門知識は不要です。
![](https://assets.st-note.com/img/1656998794278-LtqdTJNX5s.png?width=1200)
AIモデルの構築と評価
AI初心者の方向けに開発した Humanome Eyes は、アノテーション以外もマウスのみでほぼ操作可能です。専門業者に依頼しなくても、自社内で傷を自動で認識するAIを開発することができます。
今回の事例では、画像を150枚読み込ませ、写真上で確認できた150箇所の傷に対してアノテーションを実施しています。AIがこれらの傷の情報を学習し、AIが完成するまでにかかった時間は1時間弱でした。
下の2例は、AI精度を目で見て確認することを目的とした Humanome Eyesの画面から引用したキャプチャ画像です。それぞれ、左側が人間の行ったアノテーション結果、右側が今回作成したAIが傷と判定した場所を示しています。AIが傷の位置を自動で認識できている様子が分かります。
![](https://assets.st-note.com/img/1656999638465-EnskYJHbgr.png?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1656999658176-fQ48zW4d8l.png?width=1200)
Humanome Eyes は、どなたでもAIの検出能力を判定できるよう、作成したAIが実際に傷やひずみを検出できるか?について、画面上で比較判定することができます。
AIモデルの活用
AIの検出能力を確認したあとは、いよいよ作ったAIを現場で利用してみましょう。
顕微鏡の画像を1枚1枚確認して検査するような場合は、Humanome Eyes のAPIを経由することで傷の位置を検出することが可能です。
また、ベルトコンベアに載っている製品をチェックするようなリアルタイム性を要する場合には、Humanome Eyesで構築したAIを工場内のPCに搭載して判定する形が考えられます。
以下は、手のひらサイズの安価なパソコン(Raspberry Pi:ラズパイ)上で Humanome Eyes が動作し、写っている対象を判別していく様子を撮影した動画です。動画内ではトランプを判定するAIが動いていますが、トランプを傷と置き換えていただけると、実際の稼働が想像しやすいかと思います。
外観検査AIの開発・運用では、内製であっても外注であっても、AIを実際に開発するまでは、実用に値するAIとなるのか?については明言することができません。この点がAI導入を妨げる大きな問題となっています。
Humanome Eyes は、この問題を「だれでも簡単に開発可能な環境」を「毎月の定額料金で提供」することで解決しました。思い立った日にAIを作成し、手持ち画像を使ってAI精度を確認することができます。試験的なサイズ感のAIを手元でいくつか作成し、動作テストすることで、実用的な精度を担保した開発が可能となります。
プログラミングの知識がなくてもAIを開発することができる Humanome Eyes をうまく活用することで、AI開発にかかる時間も費用も圧縮できます。AI開発費用でお悩みのご担当者様は、ぜひ一度お試し下さい。
関連リンク
Humanome Eyes のような、だれにでも操作可能なAI開発環境を提供する理由について、中小企業を対象として説明しています。
画像認識AIの利用事例について、Humanome Eyesの操作説明を交えながら解説しています。
AI・DX・データサイエンスについてのご質問・共同研究等についてはお気軽にお問い合わせ下さい。