新たなコミュニティの船出に向け
研修会社の取締役として歩んできた道
私は現在、仲間とともに立ち上げた研修会社の役員をしています。起業し、経営に携わってから約30年、夢中で走り続けてきました。これまでの仕事人生を振り返ると、新卒で商社に入社して人事部に配属になる、それから転職、起業に至るまで一貫して人材育成分野でキャリアを積んできました。人生の節目に何度か訪れた “planed happenstance”（計画された偶発性）で出会ったチャンスをつかみ、努力を重ねてきたという表現がしっくりくる気がしています。
私たちの世代は、新卒入社で定年まで働く人も多く、これまでどちらかと言えば会社のため、生活のためと常に考え、人生の大部分を過ごしてきました。私自身の30～40代は、会社を立ち上げて事業を軌道に乗せるため、「人生＝会社」で「受ける仕事は１２０％の力で取り組む」「そのための努力は惜しまない」「依頼があればどんな仕事も断らず必ず受ける」を信条に、「会社の継続」のためにがんばってきました。仕事以外の勉強会や宴会などオンオフタイム全てにおいてです。経営も山あり谷ありしながら業績を高めてきました。
出会いがもたらした新たな視点と価値観
しかしながらキャリアを重ねた今、自分がやりたいことをもっとすべきではないか、残りの人生時間の使い方、ワークライフバランスについて考えるようになりました。特に、大学生にキャリアデザイン関連の授業で「自分らしく、自分が将来やりたいこと、なりたい像を実現するために人生を歩む」ことを伝えるなかで、そのメッセージが他でもない自分自身への問いかけとなって心の中を占めるようになっていました。年を重ねるにつれ、信条としてきたこと、働き方生き方の優先順位が緩やかに変化してきていることを感じています。
40歳で大学院に入学し、刺激的な仲間と出会ったこと、40代後半で大学と協業し、女性の再就職・起業支援講座を企画・運営、そのコミュニティから一度離職した女性たちが学び直しを経て再び社会で羽ばたく姿を目の当たりにしてきたことも影響しているのでしょう。これからはもっと自分のために時間を使いたい。所属する会社や組織を超えた視点、立場で社会との接点を持ち、自分の人生を還元していけることに努めていける“場”＝新しい場を持てる喜びを感じたい。また視座を高く持ち、次世代を担う若者と一緒に世の中を良くしていける場を作りたいという思いが 強くなってきました。
コミュニティの大切さに気付いた阪神淡路大震災
人はいくつになっても、自分が所属できる場があり、誰かの役に立っていることを感じられ、他人を承認し、承認される場を持つことで豊かな生活が送れると考えています。
なぜその場が必要なのか。それは私が起業をするきかっけとなった1995年の阪神淡路大震災があります。当時、勤務していた会社の取引先であった神戸の多くの企業は被災し、業績が悪化しました。震災でメンタルダウンし出社できなくなった人、経営が厳しくなり会社を去らなければならなかった人を数多く見て、「人を大事にする会社作りのお手伝いがしたい」と思う仲間と起業に至ったことから確信していることです。
次世代とともに新しい価値を創造する「TNG100KOBE」
私は、これから同じ思いに共感していただける60代の方々（ネオシニア）とともに新たなコミュニティを作りたいと考えます。それが「TNG100KOBE」です。TNGとは「Think Next Generation（次世代のことを考える）」の 頭文字。そして「Tei Nen Go（定年後）」も意味しています。TNGコミュニティが60代とZ世代を結び、次世代のために新しい価値をつくる“場”として機能していく。会社や仕事という枠組みから、もっと大きなところで、Think nextを語り合いたい人たちが集まり、刺激しあい、自分の人生を楽しみたい人たちの、特別な居場所を目指す。
Z世代との交流が生む新たな価値と未来
ここでは、特にZ世代（1990年代後半から2000年代に生まれた若い世代）との積極的な交流を進めたいと考えています。ネオシニアとZ世代との融合は世代間のギャップを埋め、新たな価値を生み出す鍵となるはずです。双方がリスペクトしあい、世代間コミュニケーションを活発にし、例えば起業支援であったり、社会課題の解決に向けて対話を重ねることで新たなビジネスが生まれたり、Z世代の夢の実現につながったり、個々の視野が広がり、世代を超えた持続的なコミュニティの形成につながります。こうしたネオシニアのサードプレイスづくりが、今後の人生における経済価値を超えた時間価値となり、充実した日々、生きがいにつながることを信じて進めていきたいと考えます。
最後に・・・
日本や若者の将来を考え、利他的でポジティブ、垂直の人脈や関係づくりを求めているTNGな皆さん
起業をしたい、社会課題解決に興味があり、人生の先輩の知見が聴きたいというZ世代の皆さん
世の中の課題解決のために、アントレプレナーシップを持つZ世代とともに60代のサードプレイスを一緒に作っていきましょう！
2024年11月2日
株式会社ヒューマンラボ
船越伴子