読書メモ(2)清水幾太郎『本はどう読むか』
清水幾太郎は主に戦後の時期の日本の「論壇」を代表する人物のひとりだが、丸山眞男などと比べるとあまり省みられることが少ない存在かもしれない。
理由は、清水の立場の変化や、著作のもつジャーナリスティックな特徴など様々考えられるかもしれないが、一方で長く読みつがれる本も書いている。岩波新書の『論文の書き方』はその代表的な一冊だが、講談社現代新書に収められている本書も、その文脈で捉えられるような一冊である。
清水はエッセイを書くのが得意だと思う。そして、おそらくその原点にあるのが、本書冒頭でも触れられている「立川文庫」の読書経験にあるのかもしれない。
清水は本書の中で、書物を実用書、娯楽書、教養書の3つに分類している。しかし、清水自身が述べているように、これらの間のそれぞれは完全に分けきることができるものではない。そして、それを清水自身の文章が物語っているように感じる。
本書の内容は、ハウツー的で実践的な内容を含みつつも、読み物として読めるものであることが特徴である。だから、今なお読みつがれているし、今後も読まれていく一冊なのだろうと思う。