炭素削減素材
工業社会の脱炭素化に貢献
Made of Air社(本社:ドイツベルリン、2015年創業、以下同社)は、創業以来画期的カーボンネガティブな工業用充填剤の開発・製造に携わっているそうです。同社は、バイオ廃棄物を人工的にバイオカーボン(本稿では、少し狭義になりますが、バイオカーボンを以下バイオ炭と呼びます)に変えて、工業製品に利用可能な材料として提供するそうです。「同社は、同社製素材が使用されている製品使用者を、単なる資源の消費者から炭素削減の積極的な担い手へと変えると共に、比類のない耐久性と長期的有効性を提供する」という主旨の同社のキャッチフレーズが印象的です。
バイオ炭とは、バイオマス(生物由来の有機性資源)を、極めて酸素濃度の低い環境下で加熱して得られる物質で、木炭や竹炭が良い例です。枯れ木や廃棄木材を焼却したり、あるいは自然界に放置すればいずれは細菌などにより分解され、いずれの場合も炭素はCO2として放出されてしまいますが、バイオ炭を使うと二酸化炭素を固定化できる点に着目し、バイオ炭をプラスティックなどの工業製品に混入させるための独自技術を開発したそうです。
理論的試算値だと思いますが、同社の技術を使い現在世界に存在するプラスティックを僅か10%同社技術によるバイオ炭材で入れ替えた場合、2060年までに年間3.3Gtonの二酸化炭素が除去されるそうです。Earth System Science Dataによると、2022年時点の世界全体のCO2排出量が約40Gton, 自然界の吸収量が7Gton弱と推定されるそうです。2060年における排出量と吸収量は分かりませんが、この2022年の推定値と比べてみると、同社が試算する2060年における同社バイオ炭材料によるCO2吸収量3.3Gtonという数値が有する潜在的なインパクトの大きさが見えてきます。
同社のバイオ炭材料技術の詳細は、ウェブサイトからでは全く分かりませんが、可塑性のあるプラスティック加工において同社バイオ炭材料を混入させる工程とその結果(つまり最終製品)において、CO2の大幅削減効果以外には全く人体、自然界に悪影響を及ぼすようなものを排出しないのだろう、そしてその最終製品が廃棄される時にも新たな二酸化炭素排出量を増やすことにならないだろうことを信じつつ、同社の急速なる発展と成功を念じております。(AS)
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