短編:劣性遺伝子の夢から醒めると、そこには一様に食傷を悼む陪審員の群れ。
赦されるのならば、最期のさいごは、いとしいあなたと話がしたい、と強く思った。それを叶えるための唯一の道筋はきっとずっと前からわかっていて、そして私はそこにたどり着くことができないであろうこともまた、どこかで気づいていた。愛されるに能わない。傷つけるに能わない。赦されない。私はもう、赦されることはない。
昔から、純粋な物事が好きだった。薄汚れた現実の自分を蔑むようにして、その乖離に罪悪感をおぼえることができたから。そしてそれはきっと、何も思い出せない程に時が経って尚、悲恋にも