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エッセー 「思い出の本」②

   「オーパ!」 開高 健(集英社)

これぞ、エンターテイメント。
 写真が多く、文章を読むのがしんどい人は、写真だけでも秘境アマゾンを楽しめる。

「骨太」とは、どこかの国の経済政策ではない。開高健の文体のことだ。
 ヘミングウェイのようにタフだ。文体に作家の人となりが、感じられる。

 難解な文字をひけらかす三島由紀夫の文体より(失礼)、現場の雰囲気をリアルに読者に伝えてくれる。

 街灯を使った串刺しの、牛の丸焼き150キロ!なんとまあ、豪快な料理だろう。まさしく、オーパ!

茹でた蟹と殻の山がすごい。
 ご満悦の作家を見ていて、我々も蟹を堪能し、生唾を飲み込む。

 川から釣り上げられたピラルクは、大人より、デカイ。オーパ!の連続だ。

 現代では、YouTubeやテレビの特集でアマゾンを容易に見れるようになった。
 では、なぜ開高健の「オーパ!」を読むのか?
 それは、彼のファンだから。文体や着眼点に興味があるからだ。
 文章もキャッチフレーズも上手い。さすが元コピーライター。

「人間や議論に絶望した人、
雨の日の釣り師
すべて
書斎にいるときの
私に似た人たちのために」


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