ヒトラー/ユダヤ人洋画、ベスト3

2位 「戦場のピアニスト」(2002年 ロマン・ポランスキー監督)

1939~1940年 ポーランドのワルシャワ。
「私たち、これからどこへいくの?」
 若いユダヤ人の女性がそうきいただけで、ドイツ軍の男は彼女の額を、至近距離から撃ち抜いた。
 6~7人のユダヤ人を地べたに伏せさせ、軍の男は次々に頭を銃で撃った。
 ユダヤ人を殴り倒し、銃殺するシーンが20分おきに続き、観ていて気が重くなった。
 ユダヤ系のピアニスト、シュピルマン(エイドリアン・ブロディ)が、過酷な環境で生き残れたのは、「運」の他に人間関係と、ピアニストの「芸」があったからだ。
 俳優エイドリアン・ブロディが、演技、表情ともに素晴らしい。
 廃墟の家屋の一室。ドイツ陸軍将校の横で、数年ぶりにピアノを弾かせられる。曲はショパンのバラード第1番。
 この数分間、時空を越えて、我々もこの演奏に心酔する。瞑想する。
 ユダヤ人大量虐殺の怒り、悲しみ、ピアニストの苦難の数年間が昇華する瞬間だ。
 この感動。音楽映画の最高峰と言っていい。

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