映画・ドラマの本数は増えている?データで見る推移と背景
「興味ないわけじゃないけど、今はいいや」
そう思って後回しにしてしまうエンタメってありませんか?
流行ってるっぽいから見ときたいけど結局見れずに終わってしまった、ということ、よくあると思います。
例えば、昨年流行ったのは映画でいえば「ゴジラ-1.0」や「君たちはどう生きるか」、ドラマでは「VIVANT」などでしょうか。
どれもSNSやテレビでよく見かけ、一部では社会現象などと言われていました。
でも、「実は観てない!」なんて人もたくさんいると思います。
「推しのアイドルに夢中で」、という人もいれば「Netflixのドラマにハマっててテレビはあんまり」という人もいるでしょう。
そこで出てくるのが、「別に興味がないわけじゃないけど、他に観たいものが多すぎて全部は観れない」
という思いですよね。
でも、実はそれ、仕方ないことなんです!
というのもそもそも流行のエンタメが増えているんです。
流行のエンタメが増えているのに、もちろん使える時間は同じ。
結果、全部は見れない、ということなんです。
「流行のエンタメが増えている?」
と、ピンとこない方もいると思うので、
今回は映画とドラマで流行のコンテンツが増えているということを見ていきます。
また、映画・ドラマの鑑賞法の変化からなぜ増えているのか、その背景についても見ていきますので、ぜひ最後まで読んでみてください!
1.映画の公開本数
一般社団法人日本映画製作者連盟が発表している「日本映画産業統計」では1955年から2023年において、日本で1年間に公開された邦画洋画合計の映画の本数が記されています。
グラフで見てみると、こんな感じです。
これによると、1955年から2005年までは約500本から約750本程度を行き来していて、公開本数は約50年間大きな変化はありません。
その後徐々に増え始め、2013年から2020年までは1000本を超え、2019年は1278本と歴代最大を記録しています。
この年のヒット作といえば、「天気の子」や、「アラジン」、「アベンジャーズ/エンドゲーム」などがありますね。
2020年にはコロナの影響で公開本数は減少しましたが、昨年2023年は1232本とほぼ2019年の記録に近づいています。
もしかしたら今年2024年は2019年の記録を越すかもしれません。
さて、公開される映画の本数が増えれば、話題になる映画も増えます。
つまり流行の映画の本数が増えることを意味するのです。
2.ドラマの作品数
では次に、ドラマの作品数の推移を見ていきましょう。
以下のグラフは1970年から2023年において、日本で1年間に放送されたテレビドラマの本数の推移を表したものです。
wikipediaからのデータですが、ご了承ください。
この結果から、1970、1980年代はほとんどの年で、年間のドラマの本数が20本以下であることがわかりました。
1990年代は40〜70本あたりが多く、その後徐々に増え、2009年には103本まで増えました。
最も多かったのは2012年と2013年の109本で2014年も108本と、このまま増えていくように思われましたが、2015年以降はやや数を減らしてきています。
その後は増減を繰り返し、2023年には94本となっています。
ということで、ドラマにおいては2015年頃までは本数を増やしていましたが、その後は増減を繰り返しながらやや減少傾向にあることがわかりました。
あれ?ドラマは減ってるじゃん、と思った方!
確かにこれだけ見るとそうなんですが、ドラマってテレビだけじゃないですよね。
詳しくはこの後、解説していきます。
3.映画・ドラマの鑑賞法の変化
さて、映画・ドラマの本数について見ていきました。
では、次に先ほどのデータ以外の映画やドラマについて見ていきます。
つまり、NetflixやAmazon Prime Videoなどのサブスクの作品ですね。
では、まずそもそもの映画・ドラマの見方について少し前から見ていきます。
映画館以外の映画鑑賞では、1976年日本ビクターという会社がVHSビデオデッキを発売しました(注)。
これにより、映画やドラマはリアルタイムで見られなくてもビデオを買うことで後から見ることが可能になりました。
それに伴い、1980年代前半にはレンタルビデオ店が多く誕生し、2000年ごろにはDVDが普及し始め、映画は比較的手軽に見られるようになります。
ただし、映画をレンタルするには店舗に行く必要があったり、店舗では一枚ごとにレンタル料金を払ったりと、一作品見るために必要な支出や手間まだ残っていました。
レンタルして鑑賞する作品は、主に自分が見逃した映画やドラマで、そこで借りた作品は昔は流行していたかもしれないですが、レンタルした時点で流行のコンテンツであることは少なかったでしょう。
そして、現代ではNetflixやAmazon Prime Videoなどのいわゆるサブスクによって、映画やドラマはスマホでも見られるようになっています。
ICT総研によると日本における定額制有料動画配信サービス(いわゆるサブスク)の利用者数は2016年には約890万人でしたが、2022年末には約3100万人まで増加、2025年末には約3630万人にまで増えると予測されています。
これは人口の約3人に1人がサブスクを利用しているということであり、サブスクは動画メディアの中心的な存在になっていると言えます。
また、サブスクの特徴として数多くのオリジナル映画やドラマが挙げられます。
その結果、いわゆる流行の映画には「映画館で見ている人が多い映画」だけでなく、「サブスクで見ている人が多い映画」も含まれるようになりました。
例えば、2023年のアカデミー賞にはNetflixオリジナル映画が8作品がノミネートされ、特に『西部戦線異常なし』という作品は国際長編映画賞、撮影賞、美術賞、作曲賞の4部門を受賞しました。
また、2022年には同じくNetflixオリジナル映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が監督賞を受賞しました。
これらの映画は映画館では公開されないですが、権威ある賞を受賞できるほどにクオリティが高く、評価された作品です。その結果人々の注目が高まり、Netflixなどサブスクの中でもさらに流行の作品になります。
以前、映画は映画館でしか見ることができず、興行収入ランキングなどが人気を測る指標でした、
ですが、現在は映画館で上映される本数に加え、サブスクのオリジナル作品によって映画の総数が増加していますので、流行の映画の本数は増えていると言えます。
また、ドラマにおいても、『梨泰院クラス』『イカゲーム』『ストレンジャー・シングス 未知の世界』などNetflixオリジナル作品ながらも社会現象を巻き起こした作品は多いです。テレビよりNetflix派という人もいるでしょう。
正確には、ドラマとは異なりますが『テラスハウス』や『バチェラー・ジャパン』などの恋愛リアリティショーも、サブスクオリジナル作品として高い人気で、好きな人も多いと思います。
先ほど、テレビドラマは本数がやや減少傾向にあると書きましたが、こういったサブスクオリジナルドラマの人気を踏まえると流行のドラマの数は変わらず多く、むしろSNS等で話題になるのはこのようなサブスクオリジナル作品の方です。
その結果、目に入ってくる流行のドラマはむしろ増えたように感じる人も多いでしょう。
ここまで、映画とドラマの供給のされ方について見ていきましたが、どうでしょうか。
流行の変化について気になった方はぜひこちらの記事もご覧ください!
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