若者・ひきこもり協同実践の全国研修会に参加して(前編)
※一昨年度と昨年度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文を転載してきましたが、今年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています。
※『ごかいの部屋』では、私の活動報告や話題、あるいは本の感想などさまざまなトピックを取り上げるコラム「当方見聞読」欄を現在は3か月に1回掲載しています。そこで今月は、2017年12月に配信したメルマガ227号と号外に掲載した「当方見聞読」欄を転載します。どちらにも来月に第17回が開催される研修会「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」が出てきます。後編の末尾欄外に開催情報もリンクしていますので、ぜひ最後までお読みください。
====================
九州ナンバーワン当事者の名著
(2017年の)去る11月11日と12日の両日、私は宮崎県内2か所を講演で回りました。
その際、ぜひ面会したいひきこもり経験者がいました。聞風坊(もんぷうぼう)氏(写真左下)です。
氏は、ひきこもり状態から自助グループに通うようになり、ひきこもり向けの自助グループを自ら立ち上げました。現在は生活困窮者支援機関に勤めるかたわら、宮崎県内の青少年支援機関のネットワーク立ち上げを主導するなど、地域のひきこもり支援の中心的存在として活躍しています。
私は2、3回会ったことがある氏と、12日の午前中に初めてゆっくり語り合うことができました。
私が氏と出会ったのは「第8回社会的ひきこもり支援者全国実践交流会」(現「全国若者・ひきこもり協同実践交流会」)の「当事者交流会」で、氏がパネリストのひとりとして活動報告をされたときでした。
私は、氏の著書『こもって、よし!~ひきこもる僕、自立する私~』をそのときに購入したのですが、氏にお会いするからと出張前に初めて読み始め、帰路読了しました。
本書の構成やその思いは、本欄の末尾に貼ったリンク先に氏が自ら書いていますのでそれをご覧いただくとして、私としては、全体に力強い筆致で、家族や支援の側と当事者の双方について耳の痛い点を含め直球で論じている本、という印象を持ちました。
なかでも第3節「引きこもるなかで見えてきたこと」は圧巻。「ここを読めばひきこもり状態が理解できる」と自信を持って紹介できる文章になっています。
また、上述の点が優れているあまり陰に隠れがちな、自助グループの意義や運営のあり方を論じた後半は、ひきこもり本にはあまり見られない内容。自助グループや当事者会を立ち上げたい方が増えている今日、再評価されるべき書と言えましょう。
本書の出版は2005年。“当事者本(当事者経験者が書いた本)” のなかでも先駆的なもののひとつですが、個性的な装丁を含め、その魅力は現在でも色褪せていません。
↓『こもって、よし!』のご案内<著者のブログ記事です
初出:「当方見聞読」欄<メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第227号(2017年12月6日)
<後編に続きます>