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家族支援とその研修の拡充を!(前編)

※一昨年度と昨年度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文を転載してきましたが、今年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています。

※今から5年前の2018年は、4年ぶりに12月下旬までたくさんの講演やイベント出演が入っていた1年でした。なかでも関係機関の連絡会・研修会の講師をつとめる機会が、前年の2か所から5機関・計10か所に激増(カバー画像はその皮切りだった研修会)。そのなかで、関係機関における家族相談体制の不備やその研修の不足を痛感し、そのことを書いたり話したりするようになりました。そこで今月は、前編でFacebook投稿から、後編で先月と同じ『ごかいの部屋』の「当方見聞読」欄から、それぞれ研修にまつわる意見を転載します。家族向けの文章ばかりだったのが関係者向けの文章も書くようになった進展にご注目ください。

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Facebookに初めて投稿した施策批判

 林恭子さんは、きのうも長谷川俊雄さんに招かれて岡本圭太さんと一緒に都内の保健所の家族講座で話したそうですが、その記事にも家族支援の大切さがあらためて書かれていました。
 このことは各地の親の会でずっと前から語られていたことですし、不登校・ひきこもり相談を15年やっていて家族支援の有効性を感じている私としては、未だに「家族支援の拡充を!」みたいな訴えが出るくらい、家族支援の仕組みが不足していることに、あらためて愕然とする思いでいます。

 先月下旬、私はある県庁所在地の保健所が定期的に開催している「ひきこもり対策連絡会議」という関係者会議で2度目の講師をつとめたのですが、そこでわかったのは、家族相談の仕組みが地域にまったくないということでした。
 もちろん「相談窓口」はあります。私が言っているのは親御さんが何年でも通える「相談機関」のことです。これがないのです。

 私の地元で活動しているひきこもり家族会が最近行ったアンケートを見せていただいたことがあるのですが、そこにも「継続して相談できる所がない」という回答がありました(注:その家族会の参加者のほとんどは私のことを知りません)。

 本人はひきこもり状態である以上、なかなか相談には行けません。だから親御さんに理解を促し、家庭のなかで本人の望む接し方を積み重ねていただくことによって、本人が楽になりエネルギーが回復することをめざすのが早道なのです。そのために親御さんとともに歩んでいく相談員が求められていると考えます。

初出:丸山康彦Facebook(2018年3月16日)                       

                         <後編に続きます>

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丸山康彦
不登校・ひきこもりに関する研修費に充て、相談支援のスキルアップと充実したメルマガ掲載文執筆に還元させていただきたく、よろしくお願い申し上げます。