非支援の対応とピア活動(後編)
「非支援の思考」とは
それに対して非支援的な意識とは「本人が現状でどのように生きて行けるかを一緒に考えようとする意識」です。
これに共通しているのは、不登校/ひきこもり状態を生き方とか生きざまと捉え、そのなかで生きやすくなることをめざす発想です。
このように本人を見ている家族や関係者は「本人は通学/通勤している人と同じ価値のある人間だから、同じ人間として接しながら本人の気持ちと意思に合った対応で生きやすくしよう」という “生水平(活を広げる)思考” をもとに “横から目線” で対応します。
6月に転載した論稿で使った表現で言うと “横軸の思考” です。
たとえば「学校/社会復帰と関係あろうとなかろうと、本人が何かをしたら(横に動いたら)良かったな」という感じ方です。
当スタジオのような相談機関や一部のご家族はそのような発想で本人に対応(本人が生きやすくなることをめざして対応)していることは、これまでお話ししてきました。
本人の多くがどちらの意識を求めているかは、当メルマガをお読みくださっている方々はご存じでしょう。
ピア活動の場を選択肢に
ところで、2022年度も半年が過ぎようとしています。
私にとってこの半年は、研修会やイベント・家族会の講師に加え、3年ぶりに開催された神奈川県内の不登校・ひきこもり等関係団体合同祭り「フリ・フリ・フェスタ」(フリフェス)への団体参加のほかにも、地域活動に関与したり、ひきこもり・若者支援団体などの全国ネットワーク「若者協同実践全国フォーラム」の理事に就任して翌年2月の全国大会に向けた企画作業に加わったりと、目まぐるしく展開した時期でした。
そのなかで、同年9月に開催されたフリフェスでの出し物として毎回実施している「ひきこもりトークライブ『まるさんの ひき・ひき・ひっきー!』」では「ピア(同じような経験をしている仲間)活動」をテーマに、当事者会や表現イベントを開催している3人のひきこもり当事者経験者を招いて話してもらいました(=前編の写真)。
そこでも申し上げたのですが、本人が動き出したくなったとき、支援機関だけでなくこうした当事者会や当事者イベントなどのピア活動も選択肢に入っていることは、とても重要です。
なぜなら、ピア活動の多くは「非支援」の意識で行われているので、本人の多くにとって支援機関の活動より敷居が低いからです。
この文章をメルマガに掲載したあと開催した「第1回ヒュースタ超会議」の第2部では、そのピア活動としての居場所のひとつとZOOMで結び、その場の雰囲気を感じていただいたうえで、第3部ではピア活動に長くたずさわっている林恭子氏や勝山実氏など3人にお話ししていただきました(=後編の告知ページ画像)。
2年経った今年は「第3回ヒュースタ超会議」を開催します。再び勝山実氏をお招きしますので、どうぞご期待ください。
初出:
本文=メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第265号(2022年9月23日)
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※前編の冒頭や後編の文中で出し物のトークライブに言及している「フリ・フリ・フェスタ」(フリフェス)、今年の開催が今月の更新予定日の翌日にあたる先週土曜日だったため終わってしまいましたが、トークライブは新企画で行い多くの方にご覧いただきました。
※そして、後編の最後にご紹介したとおり、来月は「第3回ヒュースタ超会議」を開催します。第1部は私の不登校・ひきこもり講演、第3部は『自立からの卒業』が出版される勝山実氏とおとなひきこもり当事者会「STEP」世話人の近藤健氏を招いて、近年の不登校・ひきこもり支援をめぐる動向についてモノ申します。ご関心の方は、 ↓ の公式ブログ記事をご一読いただき、末尾にリンクした告知ページで詳細ご確認のうえ、よろしければご参加またはご紹介をお願いいたします。
※その前の10月2日(水)は、私がやっている「ヒューマン・スタジオ」(ヒュースタ)が協力団体に名を連ねている逗子市の佛乗院での定期イベント「お寺で休息~語らいカフェ~」が開催されます。障害やひきこもりの方とそのご家族を支援する全国ネットワーク「お寺と教会の親なきあと相談室」に加盟している寺院で、今回の企画はマインドフルネスの学習会プラス茶話会となっています。ご関心の方は共催団体「逗子市社会福祉協議会」の告知ページ ↓ をご覧のうえ、ご参加またはご紹介をお願いいたします。
※最後に、今回転載したような長文(コラム)を3か月に1度掲載しているメールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』の今月号は、1週間後に配信予定です(今月はnote更新とメルマガ配信が1週間ずつ遅れます)。ちょうど今月号がコラムの掲載月ですので、読みたくなられた方は、 ↓ の配信サイトから読者登録をお願いいたします。