現代を映したテレビ番組(前編)
※2020年度と2021度の2年間、メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』のバックナンバーから厳選した100本の掲載文(コラム)を転載してきましたが、2022年度からは『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず過去に書いた文章を毎月1~2本、時系列に転載することによって私の自称 “体験的不登校・ひきこもり論” の進展をたどりながら理解と対応の参考にしていただけるよう進めています(執筆時から年数が経っていることで修正する場合があります)。
※2022年度からは「原則として2年前までの文章を転載する」という方針で更新しており『ごかいの部屋』掲載文にかぎらず30年余り前の文章から選んで時系列に転載を進めてきました。そして現在は2年前の文章を掲載していますが、今月はいったん少し戻って、3年前の5月に配信した『ごかいの部屋』第249号の「当方見聞読」欄に書いた文章を前編に、4年前の11月のFacebook投稿文を後編に、それぞれ転載します。いずれもテレビ番組について論評したものです。
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教育意識が問い直される時代へ
主催している定期オンラインイベント「ワラタネット交流会」の第5回でゲストにご依頼くださるなど親しくしている “不登校・ひきこもり親当事者兼支援者兼相談員” の後藤誠子氏(笑いのたねプロジェクト代表=岩手県北上市)が出演したNHK『ウワサの保護者会』をご覧になった方がいらっしゃると思います。
今回のテーマは「これって “やりすぎ教育” ?」。「メディアによる教育の啓もうに煽られた親の教育熱心さは、子育てや親の心に好影響なのか」を問い直す内容でした。
そのなかで後藤氏は、VTRで勉強を強制する “教育ママぶり” にとどまらず、不登校対応(登校刺激)から現在の活動のひとつ “支援しない居場所” にたどり着くまでを語り、スタジオにも出演しました。
このお話は、出演したほかの親御さんはもとより視聴した親御さん方の視野を広げたのではないかと思います。 “やりすぎ教育” は勉強や習い事にかぎらず、不登校対応にまで及ぶのだと。
ちなみに、当メルマガ2021年3月配信号のコラム『「教育家族」から「生活家族」へ』で私は “現代は社会学などで言われる「教育(する)家族」(子どもの教育成果を最上の価値とする家族)が一般的であり、躾や学
力を重視した育て方が当たり前の時代だが、そういう教育熱心さは不登校/(おとなの)ひきこもり対応に適さない” などと主張しました。番組もまさに同じ趣旨だったと感じました。
じつは私、この “やりすぎ教育” への問題意識をひきこもり時代から持っていて、動き出せるようになったときに頭の中でまとまったことで、この考え方を掲げて社会に飛び込んだ、という経緯があります。
「教育対策」と名づけたこの考え方、大げさに “活動理念” と称していましたが、考え始めてからおよそ四半世紀経った今、メディアでこのような啓発がなされるようになったことに深い感慨を覚えざるを得ません。
最後に「教育対策」の目的は親や教師といった個人を批判することではなく、現代人の教育意識を問い直し「教育が相対化された社会」を構想することです。後藤氏もブログに書いた後日談のなかで似たことを主張していますので、リンク先でお読みください。
初出:「当方見聞読」欄『教育意識が問い直される時代へ』<メールマガジン『ごかいの部屋~不登校・ひきこもりから社会へ~』第249号(2021年5月31日)
<後編に続きます>