目に見えない社会のルールについて
子供のころはどちらかと言うと、遊びや学校の中で自らルールを作り上げる経験をしたり、ルールを教えてもらったりする立場だから分からないけど、社会人になると、会社の中に自分が全然知らない既存のルールが動いているのを感じる。
そういう「目に見えないルール」に触れる度に、「あ、もうここではやっていけないな」と諦めや憎しみを感じることがあるので、共有しておく。
例えば、正社員/派遣職員という区分だったり、女性職員/男性職員という区分だったりで、何か違うルールで動いている。
私は今の部署に異動してからというもの、そのルールを知らないまま、あるいは悪気無く逸脱して、悪口を言われている職員を見ることが多くなった。
例えば、同じ部署の派遣職員さんが分からないことがあり、私が質問を受けたんだけど、私も全く分からず、他の派遣職員さんが離席中で急ぎということだったため、担当部署に直接聞きに行ってはどうかと助言した。
そうしたら後日、離席していた他の派遣職員さんが、「私たちに聞かず、別のフロアの担当部署にまで聞きに行くなんて」と悪口を言い合っていた。みんなで一斉に離席していたから、質問する相手がおらず、かつ急ぎの要件だったという背景を知っていても、同じように悪口を言いそうだ。
つまり、派遣職員さんには「派遣職員同士で解決する」というルールがある。間違いない。
ちなみに派遣職員さん全員が一度に離席していたのは、他の職員の悪口を言うためだった。今の部署の派遣職員さんは、そういう態度をとることがよくある。
ちなみにこのルールは前の部署でも発揮されていて、派遣職員さんに「あの派遣職員さんは態度が異常に悪いから、喋りかけるのは止めておいたほうがいい」と止めていたにも関わらず、派遣職員同士だから大丈夫と話しかけて、「私忙しいから話しかけてこないでください!!」と怒鳴りつけられ、一緒の会社で働くのはちょっと…と退職してしまった派遣職員さんがいた。
正社員には聞きづらいから、派遣職員同士で解決する、というルールは今の部署だけでなく、派遣職員さんに根強いルールなのかもしれない。
こういうルールがあるからなのか、違う部署であっても、派遣職員さん同士のコミュニケーションはかなり密だ。だからこそ、新しく入ってきた人の悪口を言い合って、新規採用の派遣職員さんが定着しない職場になってしまっているわけだけど。
もっとも、組織からすれば、そんな些細な手順・手続的なところで足を引っ張りあったり、派遣職員さんが定着しない状況になるより、目的を迅速かつ正確に達成してもらい、派遣職員さんに長くいてもらう(採用のコスパを改善する)に越したことはない。
ということは派遣職員さんの「派遣職員同士で解決する」というルールは、派遣職員さん同士のただの拘りに過ぎない。当然、組織としても遵守すべきとは言えない。
他にも、今の部署の派遣職員さんには「朝早く来て、いない人の悪口を言う」というルールもある。私も朝早く来て、同じ島に座って仕事や勉強をしているんだけど、私の存在はお構い無し。聞こえていても気にしていない。もしかしたら、私程度の人間に聞かれても問題ないと軽んじられているだけかもしれない。
そういえば彼女たち派遣職員には、「部長がいるときは悪口を言わない」というルールもある。他の正社員から部長の耳に入るという可能性を考えていないところ、甘いと言わざるを得ない。ま、部長も派遣職員さんのことで思い悩むのは煩わしいだろうからWin-Winのルールなのかも。
でも当然だけど、私には報告の義務があるので、そのうち部長の耳には入れさせてもらう。新規採用した派遣職員さんの定着率が0なのも、このあたりに原因がありそうだし。
こういった派遣職員さんたちのルールの一方で、正職員には「品位・品格の保持」という服務ルールがあり、誹謗中傷などは禁止されている。当たり前だけど、上述した派遣職員さんのように、朝早く来て悪口に花を咲かせる正社員というのは、今までの職歴で見たことがない。もしかしたら知らないところではいるかも知れないけど、これは服務規程という「目に見えるルール」だから、遵守すべきルールだ。
大体、正社員でそんなことしてたら、あっという間に噂になって社会的に死ぬよ。ある意味、派遣職員だから許されている態度ではある。
派遣職員さんのルールがしばしこちらに適用されるかのように言われることもあるけど、まともな正社員さんは「あ、もう無視無視」とか、「普段から関わらないので」といった感じで、一種冷淡なほど壁がある。
そう、壁があるから、こういう「目に見えない人間関係のルール」というのが、なおさら分かりづらく、すぐに逸脱して「ルールを破った」と悪く言われてしまうんだよね。もろちん、派遣職員さんの中だけの話なんだけど。
また、男性職員は絶対にスーツで、女性職員はオフィスカジュアルまでOKというルールもある。内規上、特段の定めはない。
この「オフィスカジュアル」というのが厳しめ~緩めまで色々あり、「オフィスカジュアルとは要するに何を着ていけばいいのか」といった雑誌の特集もあるくらい、多種多様で分かりづらい。
なので私は、男性職員のルールに合わせて、「上にジャケットを羽織ればスーツっぽく見える服装」までOKかつ、自分が上司なら許せる恰好までならOKというルールで通勤服を選んでいる。
洋服なんか仕事ができれば何でもいいじゃん、と思いがちだけど、「職場で信頼される言動や装い」というものは絶対に存在するので、会社で信頼を得たい人や浮きたくない人は、それなりの洋服を意識したほうが絶対に良い。
そういう風に、実は「信頼される言動や装いを心がけるように」というルールもある。でもこれはみんなが逸脱しがちなルールでもあるわけだ。
こういう目に見えないルールは、ある程度経験を積まなければ気付かなかったり、ある程度仲良くならなければ(泥沼に足を踏み入れなければ)知ることができなかったりするし、一層のこと、「知る必要がないルール」だったりすることもあるので、とても厄介だと思う。
自分が守りたいルールを見つけて、自主的に遵守していくことが社会では必要となる、というのも、「目に見えない社会のルール」だよなあ。