「リアルとフィクションのはざまで」
三谷幸喜監督最新作「スオミの話をしよう」が絶賛公開中である。
長澤まさみ主演、三谷幸喜お得意のシチュエーションコメディということで私自身も観たいと思っているのだが、ネットのレビューをあさる限り、どうも今回は酷評が寄せられているらしい。
5年ぶりの力作に冷や水を浴びせかけるわけではないが、三谷幸喜といえば劇作家としてはともかく、映画監督としては割と賛否のわかれる存在のようだ。
もう随分と古い話になるが、伊集院光も三谷幸喜の監督デビュー作「ラヂオの時間」について、「はっきり言ってつまらない」と言い切っていた。
正確に言えば駄作と酷評したわけではなく、伊集院自身が長らくラジオ畑で生きてきたから、ラジオを舞台にした映画を「どうだ」と見せられたところで「そんなわけないじゃん」というツッコミのほうが強くなってしまい入っていけない、ということらしい。それはそうと、最新作の「スオミ」も「うーん……微妙!」と言っていたから、要するに三谷幸喜の笑いとは肌が合わないということなのだろう。
私自身は30年来の三谷幸喜フリークで、過去8本の映画はもちろんのこと初期の舞台作品も欠かさずチェックしているのだが、伊集院ほどひねくれてはいないにせよ、「そんなわけないじゃん」とツッコミたくなるジャンルは存在する。
たとえば、介護もの。障害当事者としてまがりなりにも介護業界に身を置いており、内幕をそれなりに知っているせいか、介護現場や病院を舞台にしたドラマ、映画を見るとついついひねくれセンサーが発動し、重箱の隅をついつい突っついてしまうのである。
現実の看護師はあそこまで丁寧な天使でもないし、四六時中患者のことを考えているわけでもない。利用者に人生相談をするヘルパー?そんなのがいたら紹介してほしい。
ドラマとは所詮、そういうものなのだ。