「コメディのある人生を!」
「スオミの話をしよう」の話をしたら、三谷幸喜について語りたくなった。
三谷幸喜との出会いは、休日、父が気まぐれに見せてくれた衛星放送の舞台作品だった。
「君となら」。
タイトルはずっと後になって知ったが、それが私にとって初めての「三谷体験」だった。
父親よりもさらに年上の婚約者を娘から突然紹介されることになった一家のドタバタを描いた、シチュエーションコメディ。
初演の主演は斉藤由貴。相手役の婚約者は小倉久寛。婚約者が年上であることを何としてでも隠そうとする年の差カップルと、娘の嘘に翻弄される両親の人間模様が絶妙なすれ違い劇によってテンポよく描かれていく。
再演では今は亡き竹内結子が主演を務めたほか、父親役の草刈正雄の怪演が話題となった。
初期の三谷作品といえば、アンジャッシュも顔負けの壮大なすれ違い劇が魅力である。
「君となら」の路線で言えば、「バッドニュース・グッドタイミング」も面白い。
結婚式当日を迎え、幸せいっぱいのカップル。しかし彼らには、どうしてもお互いの両親を引き合わせられない、やむにやまれぬ事情があった……。
科捜研に入る前の沢口靖子、生瀬勝久が若夫婦を演じたシチュエーションコメディ。若夫婦の初々しいドタバタはもちろんのこと、それぞれの父親を演じる伊東四朗、角野卓造の安定感が凄まじい。結婚式が始まるまでの2時間を舞台に、式場というシチュエーションでリアルタイムにドタバタコメディが展開されていく。今やベテラン俳優の八嶋智人の芸達者ぶりが光る名作である。
お気に入りの舞台について語るのはやはり楽しい。近いうちに、「スオミ」についても書いてみようか。