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当たり前の幸せ


毎朝、目覚めて思う事。

『無事に朝を迎えられた!』
『ありがとう』
『今日も1日頑張るぞー!』

文字に起こしてみると
なんの変哲もない
当たり前の言葉だけど

そんな
『当たり前』が幸福な時間になる


私の人生は
入院や手術とは無縁だった

それが一転して
卵巣がんが見つかって
ステージIVbという状態で

TVドラマや映画の中なら
余命が残り僅かとなり
この世を去るしかない状態だ


実際のところは

告知から1年半経過して
がんは寛解していないけれど
私はこうして「生きている」のだ


体調の波があるから
元気なら1日1万歩以上歩くし
映画見たり買い物したり
肉料理とかジャンクフードも
沢山食べられる

具合が悪い時なら
布団から起き上がる事もできず
食事も殆ど喉を通らず
体中の痛みにただ唸る事しか
出来ない時だってある


夜中に急に
この世から旅立つ日を
考えて想像して

なんだか悲しくなって
涙で頬を濡らす時が何度もある

なぜ「がん」になってしまったの?


母は私より遥かに辛いはずだ
両親は既に他界して
連れ添った夫(私の父)も
この世にいない

その上、娘の私が…
母を残していくのか…
一番の親不孝じゃないか?

悩み始めたら止まらない思考回路

そうやって
いくら悩んでも
私の時間が止まる事もなければ
巻き戻す事も出来ない

これが「現実」で、『事実』だ


考えれば考えるほど
今、この瞬間の見ている景色が
愛おしく輝いてくる

何気ない『当たり前の日常』を

いつもと変わらずに
母と一緒に過ごしていきたい

それでいいんだ

朝ゆっくりと目覚めて
ラジオを聴き
鼻歌を歌いながら家事をして

母と沢山笑いながら食事をして

午後には
あったかい太陽の光を全身に浴びて

外の空気や気配を感じながら
散歩して全身を動かし

鳥や猫などの
すれ違う動物の声を聞き
微笑んでいたい

夜には
母と少しだけ晩酌をして
今日も1日無事に過ごせたね
ありがたいね

そう言って

また明日を迎えるための
洋服を準備しておいて
安心して布団に潜り込んで

今日の出来事を振り返り
目を閉じて
小さく呼吸を整えて眠りにつく

『吾唯知足』
(われただたるをしる)


それが私にとっての
『当たり前』な幸せ、である。



ここまで読んで頂き
ありがとうございます!

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