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使わない登録商標

以前働いていた法律事務所は、フロアが二つに仕切られていて、弁護士のセクションと弁理士のセクションとに分かれていた。弁理士というのは特許や商標などの申請を行うのが主な仕事だ。

登録商標の申請書類を作る際、商標を記載するのだが、どのようなデザインかも大事なので当時はその部分だけコピーを切り貼りしていた。今なら画像を取り込めば簡単なのだが、そのころはシャープの〈書院〉というワープロ専用機(!)で書類を作っていたのでできなかったのだ。

登録商標について当時面白い話を聞いたことがある。ライオン株式会社が実際には使わない商標を登録している、というのだ。おはようからおやすみまで暮らしをみつめる、あのライオンだ(このキャッチコピーは古いか)。その商標とは<NO17>(エヌオーじゅうなな、あるいはナンバーじゅうなな)だという。なぜか。これを見ていただきたい。

お気づきになっただろうか。これはライオンのロゴマークを180度反転させたものだ。もとに戻してみると 

となる。これに気づいた担当者が、まがいものの格安商品をこの商標で売り出されるのを防ぐために登録したのだという。よく気付いたものだ、と感心したが、事実かどうか当時は確認しなかったのだけれど、今回調べてみたら本当だった(商標登録第2419294号)。


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