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ストーンズメンバー死亡という衝撃ニュース。残念ながらデマではない。

「ただいま…」
とリビングに入るや否や、娘から

「しっ!黙って」と注意される。

TVに好きなアイドルグループが出ている所らしい。
同じくTVを前のめりに視聴する妻も含めて、お父さんの帰りを労う気配は微塵もない。

そこまで彼女達の関心を引くアイドルグループは

「SixTONES」
読み方、及び呼び方は「ストーンズ」だ。

「ああ、この人らそんなに人気なの?」

「知らんの?ウソやろ〜?」

まあ、名前くらいはさすがに知ってる。
その魅力を解さない父親に対し、娘は彼らの歌唱力や、人気ぶり、推しのメンバー等について語り始める。
黙れと言ったのはなんだったのか。

それはともかく、私はこのグループ名を聞く度に心の中でこう思う。

『いや、君らストーンズじゃないだろ』



私にとって「ストーンズ」とは

ローリングストーンズ

1963年のデビュー以降、多くの音楽ファンを魅了し続ける世界的ロックバンドだ。その知名度と人気は、SixTONESとは比較にならない。
通算アルバムセールスは約2億枚。ビートルズの双璧とされるレジェンドでありながら未だ現役。昨年リリースした、18年ぶりのオリジナルアルバムは世界中で絶賛されている。

それ程迄に偉大な、ローリングストーンズの通称である「ストーンズ」を日本のアイドルが堂々と名乗る。

怒りというより

「身の程を知って欲しい」

名付け親のジャニーさんが、ローリングストーンズを知らない訳がない。

ジャニーズ事件は多くの関係者に禍根を残したが、これはこれで、我々ロックファンに禍根を残す。


実際に、面倒な勘違いも引き起こしている。

番組表を見て
「おっ?ストーンズがTVに出るとは今時珍しい。これは録画せねば…」

で、再生したら
「ん? SixTONES? だっ…誰?」と落胆する。

実際私の友人が経験したことだ。

こんな事も考えられる。
通勤電車の中で、JK達が
「ストーンズってやっぱりいいよね~」
と言っているのが聞こえてくる。

『ほう、最近のJKはローリングストーンズを聴くのか。これも多様化というやつだな』 
と、ストレートに誤解する。

その話を職場の20代女子に、流行をさも知ってる体で話す。

「最近の若い子は、ローリングストーンズを聴くらしいねえ~」

話かけられた20代女子は、当然『何?』となる。その後のやりとりで「SixTONES」を知らない事が露呈する。

もう、ウププ認定確実である。


とはいえ、ローリングストーンズの全盛期は昔の話。
令和の現在、日本国内における知名度は「SixTONES」に軍配があがるのだろう。

ローリングストーンズの愛称である「ストーンズ」は、SixTONESに奪われようとしている。

いや、そうとも言い切れない。

人口比率で考えれば、ストーンズ=ローリングストーンズ派のほうが多いはずだ。

ちょっと調べてみよう。

「ストーンズ」で検索すると……

検索結果のトップ画面に表示されたのはSixTONES。

やっぱりか…

スマホをスクロールするが、結果は同じ。メンバー紹介も含むSixTONESの情報が延々と表示される。

ローリングストーンズは、スマホを6画面分くらいスクロールして、ようやく姿を現した。

SixTONESの圧勝……

思ったより事態は深刻だ。敗北感を覚えつつ再度スクロールを続けると、ある情報が目に留まった。



「メンバー死亡?」

脱退した旧メンバーがドラッグでもキメたのだろうか?元俳優が、クスリや犯罪に走るという話は今や珍しくない。それにしても、前途のある若者が死亡とは衝撃的な見出しだ。

緊張感を覚えながら、該当箇所をクリックする。



なんだ、チャーリーの事か。

ドラマーのチャーリー・ワッツが亡くなったのは、2021年8月。記憶に新しいとはいえ、もう3年以上も前の話だ。冒頭から「SixTONES」づくしの検索結果に溶け込んでいるので、完全に「SixTONES」のメンバーの事だと思ってしまった。

実際この手のデマもありそうだが、とりあえず安心だ。
前途ある若者が無事だったのは喜ばしい。

それにしても、チャーリーの死を知っている私でも誤認するのだから、やはり「ストーンズ」が被るのはややこしい。ローリングストーンズの事を知らない人は、なおさらだろう。

いや、まてよ。

知らない人?



「ストーンズ」の検索結果は、SixTONESの圧勝だった。つまりSixTONESに関心を持つ人の方が、現代では圧倒的に多い事になる。熱心なSixTONESファンもさぞ多い事だろう。

ファンクラブの人数は90万人を突破すると聞く。

反対にローリングストーンズと、その愛称「ストーンズ」を知る人は令和の現在、圧倒的に少ない。ファンクラブに属さないライト層を含めると
「SixTONES」に関心があり、かつ「ローリングストーンズ」を知らない人の数は、下手したら数百万人に及ぶかも知れない。

その数百万に及ぶ人々が

「ストーンズメンバー死亡」の文字を目にしたとしたら……

動揺は私の比ではないし、その人数も膨大になる。

勘違いして困るのは「ストーンズ=ローリングストーンズ派」の人だけではない。それよりも圧倒医的に数の多い「ストーンズ=SixTONES派」の人達だ。

ジャニーさんは、全国の「SixTONES」ファンにも禍根を残した事になる。


ローリングストーンズのメンバーは、かつての在籍者も含めれば、5名が存命中だ。

ミック・ジャガー(81歳)
キース・リチャーズ(80歳)
ロン・ウッド(77歳)
ビル・ワイマン(88歳)※元メンバー
ミック・テイラー(75歳)※元メンバー

いずれも結構な高齢者。
考えたくはないが、彼らがここ数年で亡くなる事は十分考えられる。その都度、数百万に及ぶSixTONESファンの少なくない人々が

「ストーンメンバー 死亡」
の一報を目にするのは想像に難くない。

多くの日本人が、無用の動揺や戦慄を味わう事になるのだ。

しかも、その可能性はあと5回もある。
改めて、ジャニーさんの罪は重い。


※この記事は、旧ジャニーズ及びSixTONESファンの方々を敵対視するものではございません。念の為。


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