プレミアムSUVのボディカラーにプリキュアみを感じるのは気のせいか
「このカラーは銅を溶かした色をイメージしてます」
定期点検でマツダのディーラーに訪れている際に、隣の席から営業マンの声が聞こえてきた。
どうやら新発売のSUVである「CX-80」のボディカラーを説明しているようだ。マツダのラインナップに新しく追加されたボディカラーは私も気になっていた。
あれは「銅」をイメージしているのか。
スマホでメーカーサイトを検索してみる。
営業マンが説明しているボディカラーは
「メルティングカッパーメタリック」
おお、かっこいい。
銅が溶けているとはこの事か。
気になってた、もう一つ新色も判明した。
「アーティザンレッドプレミアムメタリック」
意味はわからないがこれもかっこいい。
他のカラーも見てみよう。
ジェットブラックマイカ
ディープクリスタルブルーマイカ
ソウルレッドクリスタルメタリック
マシーングレープレミアムメタリック
ロジウムホワイトプレミアムメタリック
ボディカラーの文字は、メーカーサイトでは上品に小さく表記されているので今まで気にならなかったが、色の名前としてはいささかやりすぎな気もする。
CX-80はプレミアムSUVを名乗っているので、こういった重厚なカラー名が必要なのだろうか。
そう言えばマツダは海外販売比率がに非常に高い。
世界市場ではこういったネーミングがウケるのかも知れない。
海外メーカーも見てみよう。
【BMW X6】
プレミアムといえばBMW
ブランドとしての格はマツダより上だが、名前の長さはそれ程でもない。
が、やはり自由すぎる。
アメトリン →何色だろう?
マンハッタン →ドイツじゃなかった?
ブルックリン・グレー →ニューヨークに行きたいのか?
ミネラル・ホワイト →栄養素感がある
ブラック・サファイア →ピンクサファイアを思い出す
フローズン・ピュア・グレー →アイスで灰色はちょっと
アヴェンチュリン・レッド →語感のリズムがいい
思ったほどプレミアムを感じられない。やはり外国メーカーはセンスが違うようだ。
イタリアはどうだろう?
【アルファロメオ ステルヴィオ】
クルマ好きが愛するアルファロメオ。こちらはドイツ車より洗練されている印象だ。カラー名から、自国の誇りが感じられる。
リーパリオーカー →何色?
トロフェオホワイト →イタリアっぽい
アノダイズドブルー →イタリアっぽい
ヴェズヴィオグレー →イタリアっぽい
コンペティツィオーネレッド →すごくイタリアっぽい
ヴィスコンティグリーンメタリック →イタリアの最上級
言葉の響きがスタイリッシュだが、真顔で口にするのは若干躊躇する
【レクサス RX】
日本が誇る最上級ブランド。マツダよりも格上である分、クールジャパン感が強い。
ソニッククロム →何色だろうか?
ソニックカッパー →これはマツダと同じで銅か。
ソニッククォーツ →水晶?
ソニックイリジウム →なにやら金属らしい
ソニックチタニウム →ああ、元素か。
ソニックは音速だが、クルマはそこまで速くない。
「5色揃って音速戦隊ソニックマン」とか名乗れそうだ。
まだ続きがある。
テレーンカーキマイカメタリック →長めのカーキ色か
レッドマイカクリスタルシャイン →輝きすぎだろう
ホワイトノーヴァガラスフレーク →プリキュアの技?
グラファイトブラックガラスフレーク →白の技違い?
ヒートブルーコントラストレイヤリング →最後の大技
プリキュアイノセントプリフィケーション →違和感ない
アニメや特撮物からインスピレーションを得てる可能性は捨てきれない。
クルマに限らず、色の名前というのは奥が深い。
文化圏毎に、区別する色の境目やその数が全く違う。
レッドと赤では、その範囲が違うのだ。
国内でも、信号や野菜の緑を「青」と呼んだりする。
個人によって識別誤差があるのもデザイナーあるあるだ。私にとっての黒が他の人には紺に見えるとか。
故にDICやPANTONEなど、番号化された共通の色見本を使う。
クルマは素材やコーティングによる光の反射の影響を受けるので、さらに複雑だ。屋外と屋内で色が変わるし、天候や時間帯によっても違って見える。単純にレッドやグレーなどと言えるはずもないのだ。
だから名前は自由で問題ない。
同車種内で区別さえつけばいいのだ。
とはいえ、これらのボディカラーを日常で使うのは現実的ではない。
購入時にワクワクした気持で
「ホワイトノーヴァガラスフレーク」を選んでも、
納車の翌日から「白」と呼ばれる
我々はその名前を記憶しない。
夢中になったプリキュアの事を忘れるように。