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ホラ貝とマンション

ほんと若い頃の価値観は自分自身でも謎が多い特に異性の好みなんてなんだろうとびっくりしてしまうのとがある。

20代の頃、同じ部署で働いていた同僚と話をしながら帰ると下車駅が同じという話題が出た。彼とは業務内容が違うのでであまり話をすることもなかったので、いろいろしゃべりかけられてちょっとびっくりしてしまった。
この駅で降りるという同僚に、家どこなんですか?と事務的に訪ねると駅前の大きなマンションを「ここなんだ」と得意げに指さした。
 まだ20代の独身男性なのにファミリータイプのマンションに住んでいるとは、親御さんと同居なのかなぁとぼぉーと思ってたところ
「このマンションが全部僕ので今は独り暮らししてるよ」ごく自然に語る。
こんなこというのはドラえもんのスネ夫しか知らない。リアルスネ夫にちょっとびっくりしてしまった。
お茶でものお誘いに、とまどっていると、ちょっと待っててとわざわざ外車を回してきて駅前の喫茶店に入ることになった。楽しく会話をして家まで送ってもらい。とりあえず今日お茶のお礼を言ってその日はお別れした。
スネ夫は、端正な顔立ち背も高い。なんたってマンションを持っている。

 それからしばらく駅前のマンションが目に入るたびリアルスネ夫のことを考えてしてしまう私だった。どうするものか?けどリアルスネ夫に何も話かけることなくわざと淡々と過ごしていた。

 違う日、高校時代の同級生に会った。
久しぶりにお互い近況を彼は故郷の話をした。
奈良県の山奥だという。そういえば厳しい山々に修験道の山伏の姿を見かけることがあった。
「俺のお父さんホラ貝吹けるんやで」
「行ってみたいわ」と無意識に思わず口についていってしまった。
次の仕事の休みにお家にお邪魔すると、さっそくホラ貝の実演、サービスに滝行も見せてくださり、たまたま神社で行われている火の上をあるく荒行も見ることができた。
後で女友達にリアルスネ夫とホラ貝の話をして
なんでホラ貝やの!と大ブーイングを受ける。
いつも変わっていておもしろいことを求めて考えてる悪いクセなのか…

ホラ貝とマンション
あれから何年もいろんな選択をしながら生きてきたが、私はやはり未だに心動かされるのはなぜかホラ貝を選ぶ私だった。

しかし今なら絶対マンションやのになぁーと駅前からみえるマンションにちょっぴり心が動かせれる私である。












 

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