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大ちゃんとベル様☆

コロナが流行り始めた2020年にご近所さん宅のあたりに捨てられていた一匹の白っぽい猫。

ある日、我が家の庭に現れた。

娘が猫を驚かせないように、そ〜っと玄関のドアを開け屈んで外に出た。
 
するとその捨て猫はニャンニャンいいながら小走りに娘の所へやってきた。
その時の動画が残っている。

その白っぽいシャムトラ(シャム猫と他の猫とのミックス)に大福という名前をつけて、我が家では大ちゃんと呼ぶようになった。青い目の子だった。

その猫の寝床をご近所のお向かいさんが玄関脇に作ってくれた。ご飯も与えてくれていたのだが先住猫がいたため、(ベル様♂と呼んでいた)室内で飼ってもらうことは、できなかった。

その寝床で(私達はハウスと呼んでいた)寒い冬を越していた。毛布とブルーシートで暖かくしていた。

人懐っこくて利口な大ちゃん。
外に置いてある椅子に座ってた娘の膝の上で喉をゴロゴロいわせながら寛いだりしていた。

我が家にはテツという犬がいて、天国へいったばかりだったので最期まで面倒をみてあげられるかわからないと思った。
テツはガンで虹の橋を渡った子なので、生き物を飼うのには懲りていた。
そして何より母が家の中で生き物は飼ってはいけないと言うのだった。
そんな事もあり、残念ながら我が家では飼ってあげられなかった。

寒い冬の夜も頑張ってハウスで過ごしていた大ちゃん。
私と娘は何もしてあげられなかった。
ただ、キャットフードやお水をあげる事くらいしかできなかった。

娘は猫がこんなに可愛い生き物だとは思っていなかったと言い、とても可愛がった。
大ちゃんも、娘をとても信用していた。
お向かいさんの先住猫のベル様も一目をおいていたようだった。私達はベル様を貴公子と呼んでいた。
飼い猫の気品を漂わせ凛としていて賢かった。毛並みも美しかった。気まぐれで、ちょっと挨拶したら、さ〜っと去っていく猫らしい猫だった。
ベル様が、睨みをきかせて大ちゃんに、いい気になるなよとばかりにニャ〜ンと可愛い声でないて去っていくのを、大ちゃんは娘に寄り添って黙って見ていた。
娘はベル様に、なんでニャ〜ンって脅すの?と言っていた。(笑)
私はその動画を見て、そりゃ、元々この辺はベル様の縄張りだったんだし、あなたのめんこはベル様だったんだもの、仕方がないよと言った。ベル様にとっては大ちゃんは侵入者だったしベル様のほうが娘のめんこだったから面白いわけがないよと言った。
それでも人間の前では喧嘩はしなかったし、ベル様は利口な猫だと思っていた。

ベル様も大ちゃんも利口だから、こいつとだけは人間様?の前では喧嘩はしてはいけないと思っていたらしく適度に距離を取りながら、仲良く過ごしていた。

ある日、大ちゃんが我が家の玄関前で日向ぼっこをして寝ていたら、それを見たパトロール中のベル様が、この時とばかりに飛びかかっていったらしい。私と娘が家の中でお話をしている最中に「ニャーーッ!!」というなき声とドタンバタンと凄い物音がしたので慌てて外へ出てみたら、ベル様が口から白い毛を垂らし、大ちゃんは車の下で小さくなっていた。
人間の前では決してそんな事はしないのに…。ベル様、怒ったんだねと娘と苦笑いしてしまった。

それからなぜか我が家の周りには野良猫がたくさん集まってきた。
年老いたベル様は、縄張りを守るのに必死のようで、喧嘩をする日々に疲れていたみたい。飼い主のお向かいさんは、「ベルも歳でね〜。」と言っていたらしい。
ご飯も食べなくなって虹の橋を渡ってしまったことを聞いた。
そして大ちゃんは、お向かいさんちの猫になったのだが帰ってこなくなったと聞いた。
多分、病死したのだろうとの事だった。
いきなり2匹の猫がこの世を去ってしまった。
たくさん、2匹の猫の写真や動画が残った。大ちゃんとベル様の物だ。
 
大ちゃんと過ごした日々は2年で終わった。
誰があんなに可愛い子を捨てたんだろうねぇと娘とよく話す。
可愛がっていたはずなのに、こんな山の中に捨てるなんて、よっぽど何か理由があったんだろうと察する。
きっと、コロナと関係があるんだよと言った。
大ちゃんは、煮干しも食べなかった。
食べるのはキャットフードだけだった。
本当に大切にされてたようだ。
それがコロナが流行り始めて何かがあったのではないかと私は思う。
やむにやまれず、断腸の思いでこの山の中に捨てたのだろう。

娘は、この人懐っこい大ちゃんを本当に可愛がっていた。
私が撮った動画に、ハウスから出てきて私のカメラには目もくれず、一目散に娘の所へ走り寄っていく物があった。
それを娘は今だに、1日に5回は見ていると笑って話していた。
時々、大ちゃんに会いたいよ〜って言いだす。
ふざけていたけれど、猫と人間の絆があったのだ。
大ちゃんを飼ったら私は大ちゃんの後をついてまわるストーカーになるよと笑って言う。
大ちゃんは、お行儀が良くて自己主張を、はっきりする子だった。
本当に賢くて人懐っこい猫だった。

大ちゃんを飼ってあげられなかった事を悔やんでいる。
猫はたくさんいるけれど大ちゃんは一匹しかいない。
猫とも一期一会だ。娘が自立したら、きっと猫を飼うんじゃないかと思う。
でもその度、大ちゃんを思いだすだろうなって思うんだ。

大ちゃん、癒してくれて、ありがとう。
お姉ちゃんはね、ずっと君を忘れないよ。
生まれ変わったら、お姉ちゃんの所に来てね。


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