車の運転☆

最近はでかけるとなったら、娘に車を運転してもらってばかりだった。
私は統合失調症のうえにパニック障害気味で車の運転となると恐怖を感じたり、引き返したくなるからだった。
精神科の担当の先生にも車にはなるべく乗らないようにと言われていた。
その事は家族もわかっていたので娘が運転をしてくれていたのだ。
けれど娘は最近、仕事が忙しくて連休はない。
娘が今度の休日に、じーじのいる施設に連れていってほしいとばあちゃん(私の母)に頼まれたと私に言った。
娘は、せっかくの休日も私の代わりに、じーじのいる施設やら、ばあちゃんのかかりつけの病院に家族を連れていく日々を送っていた。
最近は娘も、疲れているのか、しんどそうに見える。
お仕事を頑張っているのがよくわかる。
娘を、ゆっくりと休ませてあげたいと思い、思いきって私が母をじーじのいる施設まで連れて行こう、私も頑張ろうと思った。

娘に今度はママがじーじの所までばあちゃんを連れて行くから……と伝えた。

私は昔はドライブがとっても好きだった。
1人で車を走らせ1人旅もしたことがある。
あの頃みたく今だって運転できる！今だって、大丈夫！そう自分に言い聞かせた。
　
そして当日、母を車に乗せてハンドルを握った。
大丈夫！それだけ考え、後は何も考えないように運転した。
国道に出てから、ひたすら大丈夫、大丈夫と、それだけを考える。　
だけどぼんやりはしていられない。
信号や対向車や歩行者や自転車やバイクなどに気をつける。
少し苦手なトンネルも、ひたすら「無」で通り抜ける。ほっとする。
怖いと言う意識は心の奥深くにしまい込む。
緊張の中、父のいる施設へ着いた。
受付の女性に挨拶をして父の部屋へ行く。
父は痩せたけれど「俺は元気だ」と言った。笑顔だった。
スタッフのかたに、おやつの差し入れの許可を得た。
心が軽くなった。食いしん坊の父は甘いものが大好きだから、おやつの差し入れは、喜ぶだろうと嬉しかった。
心臓食だけで1年、頑張ってきた父。
今度はもっと喜ぶだろうと思う。
色々、雑談をしてから、また来るねと約束して部屋を後にする。スタッフのかたにも挨拶して玄関を出る。

嬉しかったけど、また車を運転しなきゃと緊張する。母は、そんなのお構い無しに、お買い物の話を始めた。
あそこのスーパーでお買い物しようとか、コンビニで支払いをしたいとか郵便物を出したいとか、ここぞとばかりに用事を言う。
慎重に運転しながら目的地に辿り着き、母をサポートする。私もお買い物をした。
母の荷物を持ったり忙しい。
コンビニで母は支払いを済ませ、郵便局で手紙を出した。
帰りも、なるべく「無」で行く。
車の運転は家の前までしっかり注意して運転しなければいけない。気は抜けない。
ずっと淡々と運転した。
そして、やっとの思いで家の前まで辿り着いた。一気に緊張がほぐれる。　
終わった〜！と。

前は薬を飲み飲み脂汗をかきながら、やっとの思いで運転をしたものだ。
その不安は統合失調症からくるものだと精神科の先生に言われた。
どこにいても不安で発狂しそうになって、入院をしたこともある。
どこにも行かずに父の運転する車に乗せてもらって銀行にだけ行ったりしてた時もあった。(病院もだが)
そんな時期もあったのだ。
あの頃と比べたら、かなり良くなった。
運良く娘の登下校の時だけは使命感からか、症状が軽くなり送り迎えができた。
不思議というか運が良かった。

自分で言うのもなんだけど、気力(エネルギー)も満タンになったりガス欠になったりするような気がする。
休むと充電できる。
なので疲れたら休むようにしている。
精神科の先生も、仕事も疲れたら辞めるようにと言っていた。
どうやらこの病気は疲れがよくないみたいだ。
疲れやすくなる病気だとも言っていた。
精神的に弱ってくるとダメなんだろう。
ストレスは、もちろん良くない。

統合失調症とパニック障害気味？の私だがなんとか暮らしている。
今日は車の運転をよく頑張ったと自分を労う。　
しばらく、静かにすごしたい。大袈裟か…。
父の顔も見る事ができたし、(今日はドライな父だった。何があったのだろう？)ほっとした。
また来るね！と、父に言ったし今度は差し入れも出来るから張り切って行けそうだ。
私の運転かどうかは今はなんとも言えないけれど……。