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地底の祈りはどの方角へ

地球の奥底奥底奥底の、話。
僕たちの祖先は地上の災厄を逃れ、何代にも渡り苦労の時代を重ねて、ようやくここに居場所を築いた。
今や地上に最も繁栄する生物よりも多くの仲間たちが暮らしていると思う。(多分)
しかし最近何かがおかしい。
僕たちの生活を照らす恵みの太陽苔が、その輝きに鈍さを見せている。
そして時折、はらはらと足元まで落ちてくることがあるのだ(僅かな量ではあるけども)。
この世に形を持つもの、みな、役目を終えるときが来ることはわかっている。
そもそもが、僕たちの信仰は永遠を否定している。
ただ、その時が訪れるのが怖い。
僕たちが生きていくために光は欠かせない。
ここは深い深い深い地の底。
太陽苔がその役目を終えた時、それは僕たちも終わっていかなければいかない時だ。
もしも…地上の災厄が今はもう姿を消していたとしたら…もう一度…。
たった一つ、どこまでも繋がる長い穴があることを知っていた。
上へ上へ上へ。その果てを今の僕たちは誰も知らない。
長い時間がかかるだろう。始めるのに早いことはないだろう。
ひとつ、ふたつ、みっつ…僕は六本の足をかけて穴の壁をよじ登り始めた。

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