(第32回) 先天性十二指腸閉鎖症
以前コラム「小児外科って何をする科なの?」でも書きましたが
小児外科というのは、子どもの手術をする医者です。
1.先天性十二指腸閉鎖症(狭窄症)とは
以前コラム「小児外科って何をする科なの?」でも書きましたが
小児外科というのは、子どもの手術をする医者です。
小児外科医でないとできない手術…というのはいくつか種類があると思いますが、その最たるものが新生児の手術です。
新生児というのは、まだ産まれてから30日以内の赤ちゃんのことですね。
この時期の赤ちゃんに手術が必要であるということは、ほぼ全てそれは「先天性疾患(生まれつきの病気)である」ということです。
なので、先天性疾患に関する専門的な知識が必須です。
また、細かい技術ももちろん必要です。
そして、成人と赤ちゃんでは術前術後の点滴などの管理の仕方が全然違いますから、成人外科の先生では絶対に管理ができません。
そのような手術が必要な先天性疾患の中でも、有名なのが「先天性十二指腸閉鎖症(狭窄症)」です。
発生頻度は6,000人に1人くらい…と聞くと少なく感じるかもしれませんが、小児外科医からすると10,000人に1人くらいまでの病気は「とてもよくある病気」です。
21トリソミーでは頻度が高くなる病気で、生まれつき十二指腸という胃から小腸までの間の腸が閉鎖して産まれてきてしまいます。
実はこの部分、膵臓があってその発生に関わっているのですが、胎児期に一度閉鎖してからまた再開通するとされていまして、よく閉鎖とか狭窄とかなりやすいんですね。
産まれた直後のそういう子のレントゲン写真がまた非常に特徴的でして…
向かって右にある黒いところが胃の空気。そして左側が拡張した十二指腸の中の空気。
そしてその下の腸には全く空気が入っていない。
まるで泡が2つあるように見えるから、ダブルバブルサインと呼ばれており、これだけでこの病気の診断がつくという分かりやすい病気です。
手術の方法も決まっています。
上と下の十二指腸の表面に切開を入れて、バイパスするようにつなぎ合わせる、十二指腸十二指腸吻合(Diamond吻合)術です。
絵で見ると「当たり前じゃん」と思うかもしれませんが、実際の手術では下の細い十二指腸を見つけるのとか難しいんですよ。
この手術法を報告したのが日本人のKimura先生。
普通に「十二指腸十二指腸吻合術」とするかと思いきや、吻合部をダイヤ♦の形に見立てて「Diamond吻合術」と報告したところがとってもCool。
今や世界中で行われている手術法です。
2. 臍からの手術 以降は有料になります。
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