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(第13回) 【小児外科医の論文解説】小児外科医はおへその傷だけで手術する 後編

注意:今回は手術がメインのお話のため、手術の写真や傷の写真が出てくる場合があります。そういうのが苦手…という方には閲覧をお勧めしません。

(第12回)【小児外科医の論文解説】小児外科医はおへその傷だけで手術する 前編からの続きです。

前回は、肥厚性幽門狭窄症や先天性十二指腸閉鎖症という小児外科の中でもとっても有名な病気に対して、おへそからの手術をしているというお話をしました。
このような手術法はどんどん広まってきて、特に小児のおへそを専門にしているとってもコアな人たちの中では普通の手術法と認識されるようになってきました。
「小児へそ研究会」という真面目ながらもとてもコアな研究会が年1回開かれて、日本全国のへそ好きが集結していますが、そこでもこんな手術法とかが議論されます。

そうなるともちろん、「もっと他の手術もへそからできるんじゃない?」となりますよね。
当然の流れです。
実際にできます。
僕もちょっと年長の子の内臓逆位の子の十二指腸狭窄症の手術や、腸閉塞の手術、血管処理の手術などを臍からの傷でする…という論文の報告を行ってきました。

でも、さすがにもうちょっと大きな傷がないと手術できないよね…ということもあります。
そんな時に問題になるのが、「追加切開をどこにするか」ということでした。


追加切開はどこ!?

臍周りを切った後に横にするのか、左右とも切って左右対称を目指すか、
あくまでも臍内部にこだわるのか、縦にするか。
いろんな方法が報告されました。
そして、へそ研究会でも議論されていました。

外科医って「オレ様」系が多いから、だいたい「自分の手術法が一番だ」って言って譲らないんですよね…。

僕は臍内部はほとんどしません。これは好みの問題です。
臍はなるべくナチュラルに保ちたいので。
うーん、時折あふれる変態的なおへそ愛。

ということで、僕は最初は①番の横にしていました。前編の時に出した術後の写真も横ですね。
その後②番のオーム型にしてみました。
左右対称のほうがいいかな…と思ったので。
しかし、どうも横にちょこっと出た傷が目立つんですよね。
これはもう、審美的な問題なので全然学術的ではないかもしれませんが。

正直、保護者の方々で気にされている方はあまりいないのです。
みなさん「命を救ってもらって、しかもこんな小さな傷で治療してもらって、ありがとうございます。」とおっしゃるのですが…
僕はよりきれいに見えるおへそを…じゃなかった、傷を目指したいんです。

ということで、④番の縦をはじめました。
図では上の方に追加していますが、臍の下半分を切って下に追加することももちろんあります。

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