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フラワージャーニー 9/5「しょんぼりおじさん」

エピソード1
 帰宅中の休五郎がバスに乗る直前に、急な電話があり、何かなと思って電話を取ると、相手は挨拶もそこそこに「先日、渡した資料やねんけどな。あれ、悪いんやけど、
今日中でええから、○川さんに渡してくれへん?」
  相手の話に応じる前にバスに乗り込んでしまうと、車内放送で怒涛の゙ような運転手の声が「車内での携帯電話の通話はまわりのお客様のご迷惑となります。今すぐ、通話をやめて下さい」、、
 休五郎はアドレナリンが一気に上昇しているのを感じながらも、通話先の相手の意図を゙はかることと運転手への対応と、どちらを優先すべきかを゙冷静にジャッジする必要に迫られた。
 「こんなに空いているバスの中で、誰が迷惑に感じてんねん?迷惑に感じているのはお前だけやろ。時刻表の時間より2分ほど遅れて来てるくせに、偉そうにぬかすな」
 「こんな、時間に(夜9時頃)に、急に電話してきやがって、◯川(女性)の家に行くのも非常識ちゃうんか」
 休五郎の゙頭の中で、様々な葛藤が台風10号のように渦巻く中で、静寂を破るように再度、クソ運転手の声が車内に響き渡る。
「お客さん、、迷惑なので、通話は、お、や、め、く、だ、さ、い」
 チキショー、腹立つ。
腹立つけど、通話先の相手の声がゴニョゴニョ言っていて、内容が頭の中に入ってけーへん、、、

 休五郎は何事も゙無かったような顔をしながら、携帯を切り、ポケットに゙しまい、空いている席にドカッと偉そうに腰を下ろす。
 休五郎からは、運転手の顔や表情は確認できない位置であったが、バスも何事もなかったように゙発車する。
 「ハァーッ」なぜだか、休五郎はその場で落ち込んでしまう。
 「ハァー 意味わからん。そりゃ、バスの中でアホみたいに電話したらアカンのは確かにそやろ。そやけど、なんも、そないエラそうに、正義の味方みたいなこと言う必要あんのか?」
 「◯沢(通話先の相手)も゙何言うてんのか分からんし、要件だけラインで送ってきたら、コッチもちゃんと対応したんのに、何でよりによって電話してきよんねん。というか、今、帰宅中ってわかっとんのとちゃうんか」
 再度、ポケットから携帯を取り出し、しょんぼりと肩を落とす休五郎の゙心に一筋の゙光が糸を引いて駆け抜けた。
 「あっそうか?俺は偉大な人間やった。あの運転手は家の中でも職場でもいじめられて、きっと悲しい思いを゙してきてるんだ。だから、車内で通話している奴を見ると、車内放送で鬱憤を゙晴らそうとしている可哀想な人間なんや。◯沢も゙そうや。きっと◯川(女性)に゙ボロクソ言われてしょげとんねや。俺は期せずして、この可哀想な二人のストレス発散の捌け口に゙なってもうたけど、それにより、この二人は、明るい明日を゙迎えることができんねや、、、ああっ 俺ってエラい」
 
 先程まで、しょんぼりと、暗く沈んでいた休五郎の゙表情がバァっと明るくなり、幼稚ではあるが、天の啓示に目覚め、地獄から生き返った人間のような顔で携帯の゙ラインに関係各所へ必要な指示をイソイソと送信する休五郎であった、、、

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