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茂野吾郎と佐藤寿也を語りたい

庭と申します。皆様は【MAJOR】をご存知ですか?
元来週刊少年サンデーにて連載されており、その後はMAJOR 2ndが連載されている言わずと知れた野球漫画です。

かつてはNHKでアニメ放送されていたため、世代の方は大多数が目にした事があるのではないでしょうか。

かく言う私も幼少期にアニメ(恐らくリトルリーグ編)が放送されていたため、なんとなくぼんやりとキャラクターや心絵(OP曲)は記憶にありました。
しかし肝心の内容は朧気でほぼ覚えていないと言っても過言ではありませんでした。

そんな中、大谷翔平選手の活躍により、サンデーの漫画を電子で読める【サンデーうぇぶり】にてMAJORが無料公開されていたのをきっかけに読み始めました。なお現在は課金しつつ読み進めている真っ最中です。

今回は渦中の人、MAJORを代表する主人公である本田吾郎(茂野吾郎)とその友達である佐藤寿也について、思う所が多々ありすぎるため掘り下げたいと思います。


・茂野吾郎の生い立ち

MAJORの主人公こと茂野吾郎。
はじめは本田家の一人息子本田吾郎で、プロ野球選手の父本田茂治、通称おとさんと2人で暮らしています。
母であるおかさんは幼い頃に亡くしており、茂治が仕事で不在の時は幼稚園の先生である桃子先生が面倒を見てくれたりします。

茂治と桃子は次第に惹かれ合い再婚の約束をするのですが、ある日茂治がデッドボールを受け死去。当時の吾郎は5歳。吾郎は桃子が引き取る事になります。

5歳にして両親を立て続けに2人共失う設定さすがに過酷過ぎないか?
ここまでの展開があまりにも目まぐるしく初っ端から度肝を抜かれてしまいました。

後に茂治の親友だった茂野と桃子が再婚する事になり、改姓し茂野吾郎となります。

・佐藤寿也の生い立ち

佐藤寿也は吾郎の幼馴染です。吾郎には寿君・寿・寿也などと呼ばれています。

幼稚園児にして小学校の受験を強いられ鬱屈した日々を過ごしていましたが、吾郎と出会い野球を始める事に。ポジションはキャッチャーです。
勉強を強制されたり吾郎からもらったグラブを勝手に捨てられるなど家族からは精神的な虐待とも取れる扱いを受けています。

小学校に入学してから横浜リトルに入団して活躍を遂げますが、両親が夜逃げをして妹を連れて寿也を置き去りにします。
その後は祖父母に育てられ、貧しい中で野球を続けるため健気に奮闘します。

吾郎に負けず劣らず壮絶な人生です。しかしこの後の中学編から吾郎と寿也の関係はより複雑に絡み合っていきます。

・海堂高校

寿也は野球の名門校である海堂高校の入学を目指します。祖父母の負担を減らすために特待生として入学したいのですが、海堂のスカウトは吾郎か寿也のどちらか一名を特待生として迎えるとの事。

寿也は吾郎に「負けた方が海堂を諦める」と賭けを持ちかけますが、敗北。しかし吾郎は海堂のスカウトを断って、寿也と他校でバッテリーを組んで打倒海堂を目指す事に。

その後2人は三船高校に進学しますが、海堂との試合を経て吾郎は「やっぱり海堂に行こう」などと抜かし始めます。

しかしスカウトを蹴った以上特待生の切符はなく学費の免除も保証されない状況。その後の流れを要約すると以下の通りです。

寿也「学費が高くて海堂には行けないよ」
吾郎「なんとかならねえのかよ!もしかしたら学費免除されるかもしれねえだろ!(希望的観測)」
寿也の祖父母「話は聞いたよ…私たちの年金や保険は解約するから行っておいで」
寿也「でも…!」
吾郎「よっしゃ!なんとかなったぜ!!」

この頃から茂野吾郎の世間知らずっぷりがあらわになります。吾郎、高齢者が年金とか保険解約しなきゃならない状況がどれだけ深刻か考えた事もないだろ。
吾郎は生まれた時から裕福という設定ではありますが、それにしたって人んちやぞ。踏み込んでいい領域を遥かに超えていると思う。

そんなこんなで海堂入学を目指しますが、かなり過酷な入部テストが待ち受けておりなんとか海堂の野球部に入部する切符は2人ともゲット。スカウトを蹴っていなければ寿也は入部テストを受けなくて済んだのに。

入部テストとは別に、海堂に入学するためには通常の面接と筆記試験を受けなければなりません。ここで今まで野球づくしで勉強など一切触れてこなかった吾郎は窮地に陥ります。
見かねた寿也が吾郎のために毎日吾郎の家を訪問して家庭教師をするも、吾郎は勉強が辛過ぎて本気で海堂を諦めようとします。

結局立ち直ってなんとか入学に漕ぎ着けますが、ここまでで分かるように基本的に吾郎は野球の事しか眼中にないのです。しかし極端なまでの身勝手さが吾郎を野球の天才たらしめているのでしょう。

・海堂に入学

入学後、海堂の野球部にて入部テストで受かった部員は三軍として夢島で死にものぐるいの特訓を要求されます。だからスカウトを蹴っておかなければとあれほど。

特訓後、吾郎はようやくピッチャーとして活躍できる…と思いきや、外野手に割り振られます。寿也は投手として合格します。
しばらく投手組と野手組で別々の指導を受けていましたが、吾郎のためにわざわざ投手用の分厚いマニュアルを手書きで作ってあげる健気な寿也に涙が出ます。

その後吾郎はその自由なプレイスタイルを海堂に認められず嫌がらせを受け、最終的に一軍を倒した段階で海堂を退学し転校を決断します。

更に転校先を探している際に吾郎が言い放った言葉は「金さえ払や楽に入れるぜ」。さすがにこの発言は桃子の逆鱗に触れ激しく怒られます。そらそう。

ここまでの流れを画像に描き起こしました。

茂野吾郎 海堂編の歩み

主人公のやる事か?

更にその後球団から指名の声がかかり、「同じ球団で寿也と黄金バッテリーが組めるかもしれない」と寿也に告げます。無垢な笑顔で大喜びする寿也。

しかし今度はプロ入りを断ってアメリカに行く事を決意。ぬか喜びさせられた寿也は悲しむかと思いきや、彼ならやってくれるはずと旅立つ吾郎を快く見送ります。いじらしいにも程がある。
もう寿くんがそれでいいならそれでいいよ。

・吾郎にとっての寿也

大切な友達であり、共に野球の道を志すライバルでもあるのは大前提にしてもいささかあまりにもな扱いではないでしょうか。

俺がこうしたいと思えば寿も付いてくる。あれを目指したいと言えば応援してくれる。だって寿はそういう男だから。
こういったある種慢心のような物が感じられますが、台風のように周囲を巻き込んで過ぎ去っていく吾郎の生き様にはもはや感心すらしてしまいます。

・寿也にとっての吾郎

さて、寿君サイドはというと海堂を辞める吾郎に対して「裏切られた」と思ったのちに「違う、僕が一方的に友情を押し付けていただけだ」と考えを改めます。そんな事なくないか?寿君信じられないくらい謙虚だったと思うが。

そして飛び出してきた言葉が
「あのままの立ち止まらない君だから好きなんだ!」
です。

この発言は読者全体に対する寿也のアンサーなのでしょう。傍から見れば寿也が吾郎に振り回され、進路をめちゃくちゃに掻き回されて人生を壊されているようにしか見えません(個人の感想です)。
だけど本人は吾郎君のそこが好きなんだから仕方ない。

子どもの頃から孤独だった寿也に対等な友達として接し、野球という居場所を作ってくれた吾郎は特別な存在なのです。
もしかすると家族に虐げられた影響で傷付けられる事に抵抗がなくなっているのでは…と勘ぐってしまいますが、ここは深堀りすると原作の内容から逸脱してしまうため割愛します。

・吾郎の畜生エピソード

海堂入学に際する展開がもっとも壮大だったためメインで取り上げましたが、その他にも吾郎の畜生エピソードは現段階でかなり数多く存在するため一例をご紹介。

・他人の墓にボールを当てる

・小学生の薫がイライラしている事に対して「女になったのか!?今夜は赤飯か」

・遅刻した上に勝手なプレーでチームを乱してミス連発、挙句の果てに逆ギレしてあろう事かチームワークについて持論を展開して論破

・「○すぞ」など試合中に洒落にならない数々の暴言

茂野吾郎畜生打線も存在するため引用いたします。

1 中 相手のスクイズ行為を批判するくせに自分はスクイズして俺のルールだ発言
2 右 児玉を2階から突き落とす
3 一 チッよけろや下手くそ
4 三 寿也の人生を振り回す
5 左 バイトでのクレーマーに飛び蹴り
6 二 金さえあればどこの高校でもいけるからへーきへーき
7 遊 三船西の暴力行為を自分で報復する
8 捕 メジャー昇格の話を故障と偽りフロントを騙す
9 投 タメ口

出典:茂野吾郎の畜生行為で打線組んだwww

・茂野吾郎という男

ここまで散々吾郎のナチュ畜ぶりを述べましたが、読み進めるにつれ吾郎のぶっ飛んだ人格こそがMAJORを構成する要だと感じるようになりました。

天才肌で自信過剰、単細胞で喧嘩っ早く独善的、自己中心的だがそれ以上に野球中心、なおかつ努力家で人助けをする一面もある吾郎。何より吾郎はドが付くほど素直な男である事が度々伺えます。

叱られたら反省し、自分に非がないか確かめ心を改める。その場で逆上する事も無いとは言い切れませんが必ず指摘された事は受け入れて改善しようと努力します。

初めは正直主人公にしちゃ挑戦的過ぎるキャラ造形だろう…と思わないでもなかったのですが、今となっては「吾郎はこうでなくては」とまで感じさせられます。

しかし聖秀編以降では今までの畜生吾郎がなりを潜めており、同一人物とは思いがたいほどの精神的成長を遂げており純粋にかっこいいと思う場面が多くなりました。
畜生描写が少なくなって嬉しいような、寂しいような…複雑な心境です。

・佐藤寿也という男

彼はどうやら今後も妹との再開、結婚出産からの離婚など試練が待ち受けているらしく、戦々恐々としております。

こんなに真面目で心優しく優等生な寿君がなぜこんな理不尽を被らなければならないのか甚だ疑問ではありますが、吾郎君に関しては本人が満更でもないならいいんじゃないかと思ったり。


MAJORを読もう!

まだ無印全巻の内50巻分程度しか読み進めていない状況ですが、主にこの2人について語りたい衝動が抑えきれませんでした。

作品そのものは胸が熱くなるストーリー、吾郎を初めとした魅力的なキャラクター達、目を見張る描写、圧巻の画力で構成されておりスポーツ漫画に触れた事のない方にも伝わる面白さだと思います。

まだまだ当方もMAJOR初心者のため、未読の方にはぜひ海堂編まで読み進めていただき、その後の展開についても感想を共有出来れば幸いです。

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